パート・アルバイトの権利
パート・アルバイトの権利
一般にパート労働者とは、通常の労働者に比べて短い時間勤務する労働者のことを指します。雇用期間の定めもあることが多いのですが、期間に定めがなく、定年まで働く場合もあります。
「短時間労働者の雇用管理の改善に関する法律」、いわゆるパート法の対象となる「短時間労働者」とは、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」をいうとされています。したがって、いわゆるアルバイトのように、週の労働日数が通常の労働者よりも少ない労働者も、短時間労働者に含まれることになります。
パート労働者であっても、労働者であることに変わりはありません(*労働者とは何か、については「私って労働者?」を参照してください)。
よって、通常の労働者同様、労働者基準法などの労働者保護法規に規定された労働者としての権利を行使することができます。但し、一定の時間以上勤務していることが要件となる場合があります。
ア.年次有給休暇日数
1年6ヶ月以上勤務した労働者には、採用後6ヶ月に達した翌日から向こう1年について10日の有給休暇を取得する権利が発生し、翌年以降は、最大20日まで、1年ごとに次の表のとおり日数が増えます(労基法39条1項)
継続勤務 年数 |
6月 | 1年6月 | 2年6月 | 3年6月 | 4年6月 | 5年6月 | 6年5月 以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
付与日数 | 10 | 11 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 |
イ.通常日数の場合
パート・アルバイト労働者であっても、以下の場合は、アと同じ年次有給休暇を取得することができます。
①所定労働日数が週5日以上
②所定労働日数が年217日以上
③所定労働日数が4日以下でも所定労働日数が週30時間以上
ウ.比例付与
上記イ①~③以下の労働者でも、次の表のとおり日数の年次有給休暇を取得する権利があります。
④所定労働日数が週4日または年169日から216日まで
継続勤務 年数 |
6月 | 1年6月 | 2年6月 | 3年6月 | 4年6月 | 5年6月 | 6年5月 以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
付与日数 | 7 | 8 | 9 | 10 | 12 | 13 | 15 |
⑤所定労働日数が週3日または年121日から168日まで
継続勤務 年数 |
6月 | 1年6月 | 2年6月 | 3年6月 | 4年6月 | 5年6月 | 6年5月 以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
付与日数 | 5 | 6 | 6 | 8 | 9 | 10 | 11 |
⑥所定労働日数が週2日または年73日から120日まで
継続勤務 年数 |
6月 | 1年6月 | 2年6月 | 3年6月 | 4年6月 | 5年6月 | 6年5月 以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
付与日数 | 3 | 4 | 4 | 5 | 6 | 6 | 7 |
⑦所定労働日数が週1日または年48日から72日まで
継続勤務年数 | 6月 | 1年6月 | 2年6月 | 3年6月 | 4年6月 |
---|---|---|---|---|---|
付与日数 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 |
アルバイトには、残業代は支払われないのでしょうか?
法定労働時間(原則1日8時間1週40時間)を超えて労働した場合や深夜(午後10時~午前5時)、休日に労働した場合、使用者は割増賃金を支払わなければなりません。
1日8時間以内の残業であっても、所定労働時間が所定労働時間を超えれば、法内残業として、時間賃金に残業時間を乗じた額の賃金請求権があります。(*詳しくは、賃金・給与・残業代・深夜勤務手当の項を参照して下さい)
あなたの場合、午後10時を過ぎて残業をしているということですから、時間給の25%増しの割増賃金を請求することになります。
期間を定めた労働契約でも、これまで契約が反復更新されたことにより、雇止めをすることが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められる場合や労働者に契約が更新されるものと期待することについて合理的理由が認められる場合には、通常の労働者の解雇同様、期間満了を理由とする解雇(雇い止め)に合理的な理由がなければ、雇い止めは無効となるという確立した判例法理が労働契約法に明記されました。(*有期契約に関する労働契約法の改正については、情報BOX「有期から無期への転換・不合理な労働条件の禁止~労働契約法一部改正法が全て施行されました~」を参照下さい)
したがって、契約期間が6ヶ月となっていても、これまで何度も契約を更新してきた実績がある場合や更新の合理的な期待がある場合には、会社を辞める必要はありません。解雇と同様に雇い止めを争うことができます。
雇い止めを争うことができるかどうかの判断や争う場合の具体的手続きについては、事務所にご相談下さい。