取扱業務

賃金・給与・残業代・深夜勤務手当の未払

賃金・給与・残業代・深夜勤務手当の未払

ここに記載した権利は労働者の最低限の権利です。これよりも低い基準で働いている場合は必ず是正させる権利があります。一方、これよりも高い労働条件があるときはそれに基づいて請求する権利があります。

Q.賃金、残業代等を請求するために重要な証拠は何ですか?
A.働いた時間の記録(証拠)です。

賃金を請求する上で一番大事な証拠は、働いた時間の記録(証拠)です。典型的にはタイムカードなど事業所で作成している記録です。自分の賃金に疑問をもったら、これをコピーするなどしましょう。使用者がコピーさせてくれないときでも、訴訟を提起する時等に裁判所の手続を使ってコピーをとる場合もあります。また、例えば30分以下の労働時間をカットされたり、定時になると働いていても打刻されてしまうなど、使用者が正確に記録してくれないときは自分で出退勤の時刻を記録しましょう。手帳に書いても、家族にメールを打っても立派な証拠です。

Q.賃金を払ってもらえません。「働きが悪いせいだ」と言われます。仕方ないですか。
A.賃金の不払いは犯罪です。払ってもらう権利があります。

労働者は、使用者から、お金で・直接・全額を・毎月(またはそれ以内の期間ごとに)、賃金を支払ってもらう権利があります。賃金の不払いは、犯罪行為です。約束された賃金や今まで支払われてきた賃金を支払ってもらえないときはそれを請求する事ができます。もちろん、退職した後でも、在職中の未払賃金を請求する事ができます。退職時までに支払われるべき給与が退職時までに支払われないときは、年利14.6%の利息も請求する事ができます。

Q.時給700円で働いています。働いても働いても苦しいです。
A.最低賃金を払ってもらう権利があります。

賃金の最低額は都道府県ごと、分野ごと定められています*1。京都府の最低賃金は2012年10月14日現在759円です。これより低い賃金で働いている方は最低賃金との差額を請求する事ができます。なお、近年、国民世論の高まりで最低賃金が少しずつ上昇しています。今後も世論の力で最低賃金を大幅に引き上げさせることが重要です。

Q.残業代、深夜勤務代ってどれくらいもらえるのですか。
A.1日8時間超・週40時間超は25%増し、休日は35%増し、深夜早朝は25%増しです(変形労働時間制、フレックスタイム制、管理監督者等除く)。

1日8時間まで、週40時間までの所定労働時間を超えて働く場合は、「通常の労働時間又は労働日の賃金」*2の25%増し以上の賃金を支払ってもらう権利があります。いわゆる残業代です。

また、労働者は、週1日以上、または、4週間で4日以上の休日を取得する権利があります。この休日に勤務した場合は、「通常の労働時間又は労働日の賃金」の35%増し以上の賃金を支払ってもらう権利があります。休日出勤手当です。

さらに、夜10時から朝5時までの間に働いた場合は「通常の労働時間又は労働日の賃金」の25%増し以上の賃金を支払ってもらう権利があります。深夜早朝勤務手当です。

残業が夜10時以降になった場合は25%+25%=50%増し以上、休日出勤で残業した場合は35%増し以上(25%は加算しません)、休日出勤で夜10時以降になった場合は35%+25%=60%増し以上の賃金を請求できます。

「年俸制」を採用している場合でも残業代等は発生します。ただし、職場で「変形労働時間制」「フレックスタイム制」等を取っている場合はこの通りにならず別途計算が必要です。

Q.賃金請求したいのですが。
A.当事務所にご相談下さい。

当事務所では、沢山の賃金請求事件を扱っております。請求時には付加金を上乗せしたり、退職後は年利14.6%の遅延損害金を請求することもあります。当事務所では給与額や出退勤時刻を入力するだけで残業代・深夜早朝勤務手当・遅延利息を自動で計算するエクセルのシートも作成しています。賃金請求権の時効は2年です。賃金の不払いでお悩みの方はお早めに当事務所にご相談下さい。

*1 京都府の最低賃金については京都労働局のホームページをご参照下さい。
*2 「通常の労働時間又は労働日の賃金」は、時給制の方は時給によります。月給制の方は月の給与(基本給、職務手当等も含みます。残業代の先払い部分や家族手当、通勤手当、住宅手当等は真にその目的で支払われてるときは除外します。)を月所定労働時間で割って算出します。職場の月所定労働時間が分からない場合は、とりあえず月の給与を173.75時間(40〈時間〉÷7〉〈日・週〉×365〈日・年〉で得た2085÷12〈年月数〉)で割って得た金額で計算します。
この記事の内容は2020年3月末までに発生した債権であることを前提としています。民法改正により、2020年4月1日以降に発生した債権については時効期間が異なっていますので、ご注意下さい。
改正後は、原則として一律に「権利を行使することができることを知った時から五年」(改正民法166条1項1号)となり、不法行為の場合は3年(同724条。ただし「人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権」については5年(同724条の2))となっています。
また、賃金請求権については、2020年3月の労働基準法改正により、同年4月以降に発生するものについては3年ということになっています。