「原状回復費用は賃借人の負担」の契約
借地・借家・マンション問題
Q.「原状回復費用は賃借人の負担」の契約で、契約終了時、敷金は返してもらえますか?
A.原状回復費用とは、借家人の使用によって生じた損耗などを補修・修繕する費用のことで、借りたときと同じ状態に戻すための費用を指します。この原状回復費用を賃借人の負担とする旨の特約(原状回復特約)があることを根拠に、通常の使用によって生じる損耗を含めて、賃貸人がクロス・じゅうたんの張り替え費用や、畳・網戸の取替費用を敷金から差し引いたり、あるいはこれらの費用を賃借人に請求するといったトラブルが増加しました。
「借家人が普通に使用していて汚れたり損耗した場合(自然損耗)は、回復する責任がなく、それらの費用を当然に差し引くことはできない」「家を傷つけた場合も故意過失の場合のみ原状回復義務がある」というのが原則であり、特約の成立自体を否定する判例もあります。契約に特約が明記されていても、判例では、2001年4月1日以降の契約については、このような特約は消費者である賃借人に一方的に不利益な条項であるから、消費者契約法10条により無効とされています。
仮に契約書にそのような特約が記載されていたとしても、原状回復費用を負担する必要はなく、敷金は原則として全額返してもらえることになります。
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