注文者が代金を支払ってくれません
債権の担保・回収
Q.私は請負業者ですが、注文者が代金を支払ってくれません。対処法はありますか?
A.請負代金が回収できない場合、請負業者としては、次のような対処法が考えられます。
- (1) 工事の途中で注文者が手形を不渡りにするなど、期日に支払をしないことが明らかな場合、途中で工事を中止したり、建物の引渡しを拒否することができます(不安の抗弁権)。
- (2) 請負完成後、請負代金全額の支払があるまで注文者に対する建物の引渡しを拒否することができます(同時履行の抗弁権)。
- (3) 請負代金の支払があるまで、何人に対しても建物の引渡しを拒否することができます(留置権)。同時履行の抗弁権との違いは、留置権の場合、注文者に対してだけでなく、建物の譲受人や担保権者などの第三者に対しても建物の引渡しを拒否することができる点です。請負業者は、留置権を行使して建物を占有することはできますが、注文者の承諾なしに建物を使用したり、第三者に賃貸したりすることはできません。
- (4) 請負代金の支払を求めて裁判を起こし、その判決に基づいて、注文者の土地・建物などの財産を差し押さえ、強制的に請負代金を回収することができます(強制執行)。なお、本裁判を起こす前に、注文者の財産を仮差押えすることもできます。
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