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住民監査請求が棄却。さらに不正を追及するためには?

行政訴訟・住民訴訟

Q.住民監査請求が棄却されました。さらに不正を追及するための方法はないでしょうか?
A.住民監査請求が却下されたり棄却されたりすると、それに不服がある場合、その通知を受けてから30日以内であれば地方裁判所に住民訴訟を提起することができます(地方自治法242条の2)。住民訴訟を提起できるのは財務会計行為が違法な場合に限られ、不当としか評価できない場合には住民訴訟を提起することができません。

地方自治法242条の2第1項は、次の1号から4号まで4つの類型の住民訴訟を規定しています。*1

1号請求財務会計行為が違法に行われようとしている場合に、執行機関を被告として、その行為の差止めを求める訴訟
2号請求財務会計行為が違法に行われた場合に、執行機関を被告として、その取消しあるいは無効確認を求める訴訟
3号請求財産の管理、公金の賦課徴収を違法に怠る不作為が存在している場合に、執行機関を被告として、その怠る不作為が違法であることの確認を求める訴訟
4号請求地方公共団体の長、職員が違法な財務会計上の行為を行った場合、あるいは違法に財産の管理などを怠った場合に、次の(A)と(B)の請求ができる訴訟
  • (A) 違法な財務会計上の行為を行った職員あるいは違法に財産の管理などを怠った職員に対して、地方公共団体が有する、(1) 損害賠償請求権(あるいは賠償命令)、(2) 不当利得返還請求権の履行を地方公共団体の長に請求する訴訟
  • (B) 違法な財務会計上の行為の相手方あるいは違法に財産の管理などを怠ったことによる相手方に対して、地方公共団体が有する、(1) 損害賠償請求権、(2) 不当利得返還請求権の履行を地方公共団体の長に請求する訴訟

なお、4号請求については、平成14年の法改正により大幅な変更がなされました。改正前は、住民が地方公共団体の長(個人)、職員(個人)ないし相手方を直接被告として、地方公共団体に代位して損害賠償請求や不当利得返還請求をすることができましたが、改正後は住民が地方公共団体の長(執行機関たる長)を被告として請求する方法のみに変更されました(「第1次訴訟」といいます)。そのため被告の訴訟費用は地方公共団体が負担することになりました。

第1次訴訟で原告勝訴の判決が確定した場合、地方公共団体の長(執行機関たる長)は改めて支払い義務を負う地方公共団体の長(個人)、職員(個人)または相手方に対し賠償請求・不当利得返還請求をしなければなりません。そして、その請求に応じなければ、地方公共団体は第1次訴訟の判決に基づいて地方公共団体の長(個人)、職員(個人)または相手方に対し訴訟を提起しなければなりません(地方自治法242条の3)。これを第2次訴訟といいます。

住民訴訟は住民自身で行うこともできますが、書面の作成や証拠収集などで高度の専門的な知識や経験が必要となってきますので、住民訴訟を手掛けている弁護士に依頼した方がよいでしょう。


  • *1 訴訟類型の整理は『住民訴訟の上手な対処法』改定増補版(秋田仁志・井上元編P.130)による。

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