遺言-遺言を書くにあたっての注意点
遺言
5.遺言を書くにあたっての注意点
遺言を書く場合、その他にも、注意すべき点や知っておくと役に立つ知識があります。他にも疑問な点や分からない点があれば、弁護士にご相談下さい。
お子さんは未成年ということですが、年齢はいくつでしょうか?未成年者であっても満15歳以上であれば、単独で遺言を書くことができますので、お子さんの年齢によっては遺言を書くことができます。
もっとも、認知症などにより、物事についての一応の判断力(これを「意思能力」といいます)がない方は遺言を書くことができません。ただし、一時的に判断能力を回復したときであれば、医師2人の立ち会いにより遺言をすることができますので、主治医や弁護士と相談してください。
表をご覧頂ければ分かりますように、兄弟姉妹には遺留分はありませんので、もし兄弟姉妹に相続させたくないと思えば、兄弟姉妹以外の相続人にすべてを相続させるという内容の遺言を書けばよいことになります。
ご質問の例では、「子どもにすべての財産を相続させる」という遺言を書いておけば、兄弟姉妹に財産が渡ることはありません。
相続人 | 配偶者 | 子 | 直系尊属 | 兄弟姉妹 |
---|---|---|---|---|
配偶者+子 | 1/4 | 1/4 | ||
配偶者+直系尊属 | 1/3 | 1/6 | ||
配偶者+兄弟姉妹 | 1/2 | なし | ||
配偶者のみ | 1/2 | |||
子のみ | 1/2 | |||
直系尊属のみ | 1/3 | |||
兄弟姉妹のみ | なし |
相続人の廃除を行うためには、家庭裁判所に申立を行う必要があります。「廃除」の意思を遺言に記載して、弁護士を遺言執行者に指定しておく方法をとれば、死後、弁護士が「廃除」の申立てをすることになります。
- 故意に被相続人あるいは相続について先順位・同順位の相続人を殺し、又は殺そうとして、刑に処せられた者(過失致死や傷害致死は含まれません)
- 詐欺又は強迫によって、被相続人に遺言をさせたり、既にした遺言を取り消させたり、変更させたりした者
- 遺言書を偽造したり、既にある遺言書を変造したり、破棄したり、隠匿したしたりした者
相続欠格者は遺贈を受けることもできなくなりますが、代襲相続は認められていますので、相続欠格者に子どもがいる場合、その子どもが相続人となります。
一度書いた遺言に加除・訂正を加える場合、一定の方式を備えることが要求されています。(1)その場所を指示して、変更したことを付記し、(2)これに署名しなければならず、(3)さらに、変更した場所に押印しなければならないのです。
他方、遺言を撤回することはいつでも自由にできます。「前の遺言を撤回する」と明記しても構いませんし、そのような記載がなくとも、前の遺言と抵触する内容の遺言が後に作成された場合、後の遺言で前の遺言は当然に撤回されたものとして扱われます。