被害者が加害者の刑事裁判に積極的に関与する方法
刑事事件等
Q.犯罪被害者が加害者の刑事裁判に積極的に関与する方法はありますか?
A.被害者やその遺族は、現在の気持ち(被害感情)や事件についての意見を法廷で述べることができます。公判期日に証言台に立ち、裁判官に向かって、あらかじめ決められた時間の中で意見陳述を行うことになります(刑訴法292条の2)。被害者やその遺族から依頼を受けた弁護士は、効果的な意見陳述ができるよう、被害者やその遺族のご意向を伺いながら読み上げる原稿を作成します。
犯罪被害者が加害者の刑事裁判に積極的に関与する方法として、次のような制度があります。
(1) 情状証人に対する証人尋問
刑事裁判では、被告人の親族や友人などが情状証人として登場し、示談や謝罪の状況などの「情状」を述べることがあります。この情状証人の証言が信用に値するものか否かを争うために質問することができます。ただし、犯罪事実そのものに関する質問はできません(刑訴法316条の36)。
(2) 被告人質問
被告人に対しても質問をすることができます。質問できる事項に制限はありません(刑訴法316条の37)。
(3) 最終意見陳述
裁判の最後に、事実、法律の適用、情状、求刑について意見を述べることができます(刑訴法316条の38)。
犯罪被害者が、刑事裁判の手続に参加する場合、これを弁護士に委託することができます。この委託を受けた弁護士を「被害者参加弁護士」といいます。被害者参加弁護士に委託することができる事項は、(1)公判期日への出席、(2)検察官に対する意見申述、(3)証人尋問、(4)被告人質問、(5)事実または法律の適用についての意見陳述です。
犯罪被害者が資力に乏しい場合には、国選被害者参加弁護士制度を利用すれば、国費で刑事裁判への参加を弁護士に委託することができます。流動資産(現金、預貯金の合計額)が150万円未満である犯罪被害者は、法テラス*1を通じて、当該事件の係属する裁判所に対し、国選被害者参加弁護士の選定請求をすることができます。
- *1 法テラス 国によって設立された法律トラブル解決のためのセンター。正式名称は「日本司法支援センター」。
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