2024年6月20日、当事務所は、憲法を活かす講演の集い「語ろうセイの多様性」を開催しました。選択的夫婦別姓、同性婚、LGBTQなど、ジェンダーをめぐる問題は、社会的にも大きな問題となっており、多くの裁判が起こされ、画期的な判決も出されています。これらの問題に当事者として取り組んでいる鈴木げんさんと、専門的に研究されている愛知大学法学部教授の立石直子さんをお招きして、講演のつどいを開催しました。
鈴木げんさんは、出生時の身体上の性別は女性でしたが、性自認は男性というトランスジェンダーの当事者です。戸籍上の性を女性から男性へと変更する申立てを行ったところ、性同一性障害特例法では、生殖腺がないこと等が要件とされており、卵巣摘出手術をしていなかった鈴木さんは、性別変更が認められませんでした。鈴木さんは、この要件が憲法違反であると訴え、2023年10月、静岡家裁浜松支部で憲法違反の審判を勝ち取り、性別変更が認められたのです。鈴木さんは、「性の多様性と俺裁判」との題目で、幼い頃から抱いてきた性別への違和感の話や、提訴に至った経緯、裁判を進める中で、多くの仲間や支援者に支えられたことなどを語られました。
立石直子さんは、「多様な生き方と家族・法」の題目で、性をめぐる問題の背景にある、今の日本社会における家族や社会のあり方などのお話をされました。その上で、現在、全国で進められている選択的夫婦別姓訴訟や同性婚訴訟の状況を踏まえ、日本国憲法のもとで多様な性や多様な家族のあり方が認められるべきであると述べられました。
休憩をはさんで、当事務所の糸瀬美保弁護士をコーディネーターにして、鈴木さん、立石さんとの対談を行いました。鈴木さんは「人はみんな違う、個人の選択肢が尊重される社会であってほしい」、立石さんは「社会は進歩している、少しずつ良くなっていると希望を感じながら闘っていきたい」と話されました。