1 被害の内容
今年の1月にインターネット上の求職求人サイト「バイトル」(ディップ社が運営)を悪用した業務妨害に遭いました。具体的には、不明の第三者が私の業務用のメールアドレスや事務所の電話番号を用いて、私の名前で勝手に、バイトルに掲載されていた京都府下の数百件のアルバイト求人への応募をしたのです。その結果、1週間以上にわたり、事務所にディップ社顧客企業(広告掲載企業)から面接の日程調整の電話があり、多数の問い合わせメールが来ました。
2 なぜ加害者ではなくディップ社を訴えたのか
ディップ社に対しては、被害の直後から、被害拡大の防止や再発防止策、刑事告訴などを求めましたが、後ろ向きな回答を繰り返しました。
しかし、このように簡単に悪用されて大きな被害が生じるのに、ディップ社は以前同種の被害があることを把握しながら、バイトルの不正利用を防止するための実効的な策を取りませんでした。近時、SNSのフェイスブックやツイッターなどプラットフォーマーの法的責任が注目を浴びていますが、バイトルも立派なプラットフォーマーであり、ディップ社のセキュリティが意図的に甘くなっていることによって発生した加害行為を私たちが甘受する必要はありません。
そこで、他の弁護士らと一緒に、ディップ社に慰謝料の支払いを求める訴訟を東京地裁に提起しました。上記提訴を受けて、追及を受けることを恐れてか、不明の第三者による加害行為がぴたりと止まったのは印象的です。今後、原告として、しっかり権利主張したいです。
「まきえや」2024年秋号