駐車場内事故のパターンと特徴
私達の生活では日常的に駐車場を利用します。駐車場と言っても多種多様で、道路・歩道に面したコンビニの駐車場のようなものもありますが、ここではホームセンターや病院などの通路部分と駐車区画が区分されている一定の規模のものを考えます。
このような駐車場での車相互の事故のパターンとしては、①通路進行車同士の事故、②通路進行車と区画出入車との事故、③区画出入車同士の事故がありますが、駐車場の性格が特に反映されているのが②の事故で、実務でもしばしば経験します。
区画進入車と通路進行車では区画進入車が優先
区画に進入しようとする車と後方から通路を進行してきた車が衝突・接触した場合です。
裁判所基準は、駐車場は駐車のための施設であるから、車が駐車区画に進入することは駐車場の目的に沿った行動であるとしています。
また、駐車場の特殊性として、車がバックしたり方向転換することや駐車している車から歩行者が出てくることが多いので、通路を進行している車は、前方注意義務や徐行義務がより高度に要求されるとしています。
このことから、原則として区画進入車が優先され、過失割合の基本は、区画進入車20:通路進行車80とされています。
しかし、この基準は、前方の車がハザードランプ、ウインカー、バックライトや車の向きなどから区画に進入しようとしていることが、ある程度手前の位置で認識できる状態であったことが前提で、区画への進入が予想できなかった場合には適用されず、個別具体的に検討されます。
区画退出車と通路進行車では通路進行車が優先
区画から通路に出ようとする車と後方から通路を進行してきた車が衝突・接触した場合で、先の場合とは原則が逆転します。
裁判所基準は、区画退出車は停止状態から進行したのだから、容易に安全を確認し、衝突を回避できるし、通路進行車の通行を妨げる場合には通路への進入を控える義務があるから、区画退出車により重い注意義務が課されるとしています。
このことから、原則として通路進行車が優先され、過失割合の基本は、区画退出車70:通路進行車30とされています。
しかし、この基準は、通路進行車が急ブレーキをかけても止まれない距離でいきなり区画から出た場合などには適用されず、個別具体的に検討されます。
画像が重要な証拠
最近の事件では、ドラレコ画像や駐車場の監視カメラ画像が残っている場合が多く、これに基づいて過失割合が判断されます。裁判所基準を理解した上で、安全に駐車場を利用することが大切です。