就任への思い
2021年4月に京都弁護士会副会長に就任しました。弁護士会というのは、各地域に設置されている弁護士の自治組織で、ここ京都の弁護士会では、毎年、会長1人と副会長4人を選任して会の運営にあたっています。副会長には、登録から10数年後、40歳前後で就任する弁護士が多いのですが、社会人経験を経て2002年に弁護士登録した私は既に50代、やや遅れた就任といえます。
それでも、副会長をやってみようと思った理由のひとつが、「男社会」といわれる弁護士会を変えたいという思いです。実は、弁護士全体の女性割合は約19%、長期間にわたって僅かしか増えないという状態が続いています。当然、会長職等に就く女性弁護士も少なく、京都弁護士会では、副会長に就任した女性弁護士は私で8人目、5年ぶりとなりました。今期は会長も女性だったのですが、こちらは3人目、10年ぶりで、女性の複数就任は初めてです。もちろん、私が副会長になったからといって、すぐに何かを変えられるわけではないのですが、それでも何かしないと何も変わらないという思いで就任を決めました。
LGBTQの取り組み
法律には、弁護士の使命として、「人権の擁護と社会正義の実現」と定められています。弁護士会の役割のひとつは、この弁護士の使命を会として実現することです。弁護士それぞれ個性が違うように、弁護士会の取り組みも、年度毎の会長・副会長の個性によって様々です。今年度私たちが重視して取り組んだのは、「多様性の重視」です。そのひとつが、弁護士会が毎年取り組んでいる「憲法と人権を考える集い」という市民の方々を対象とした集会において、LGBTQをテーマに取り上げたことでした。従前は、著名な講師をお招きし、大きな会議場をお借りして実施していた企画なのですが、今年は新型コロナウイルスの感染状況拡大を受け、多人数を集めるような企画は難しくなっていました。そこで、初の試みとして、完全オンラインで実施することとしました。内容も講師にお任せではなく、京都市のパートナーシップ宣言制度や、先進的な取り組みを行っている京都市内に本社のある企業などのご協力を得て動画を作成し、紹介するなどしました。オンラインのよさは、ライブでは都合がつかない方へも、後日動画を配信することで視聴いただけるようにできることです。この動画も京都弁護士会のホームページにアップしていますので、ぜひ検索いいただければと思います。
副会長の日常業務
以上のように、私たち自身が中心となって大きな企画を行うこともありますが、副会長の仕事の大半は、縁の下の力持ち的なものです。弁護士会には人権活動等を行う様々な「委員会」や、社会の情勢等に応じて設置される「本部」があり、各々の弁護士が関心のある委員会等に所属して活動しています。副会長4人は、これら委員会等を分担して担当し、運営の補助や相互の調整を行うという役割を担っています。
例えば、私が担当した本部のひとつに、秘密保護法・共謀罪対策本部があります。同本部は2019年4月に設置されたもので、特定秘密保護法・「共謀罪」の改廃を求めるとともに、恣意的な運用を防止するため、様々な活動を行っています。当事務所の秋山健司弁護士も中心メンバーのひとりで、月に1度、四条河原町で行っている街宣活動では、一緒にスピーチやチラシを入れ込んだティッシュの配付等に取り組みました。
この冊子が皆様のお手元に届く頃には、私の任期は終了となっているはずですが、本当にあっという間、でも密度の濃い1年でした。この経験をこれからの弁護士業務にも生かしていきたいと思っています。