保佐人奮闘記 〜高齢者の方の健やかな生活のために〜
【1】「保佐」とは
成年後見人という言葉は聞いたことがあるけれども、保佐人という言葉は、あまり馴染みが無い方も多いと思います。
「保佐」は、成年後見制度の一つで、認知症等で判断能力が低下してしまった方の財産を保護するための制度です。「後見」は、一人では買い物すらできないような状況になってしまった方のための制度であるのに対し、「保佐」は、日常生活にはそれほど支障がないけれども、財産に大きな影響を与えるような重要な行為を一人で行うのは不安があるという方のための制度です。
【2】A子さん(80代女性)の健やかな生活のために
私が裁判所から選任されて、保佐人となったのは、80代のA子さんでした。当時、A子さんは子供との折り合いが悪く京都市内の病院に入院していました。
長期入院となっていて病院からは一刻も早く退院して頂きたいと言われていたこと(退院しても問題はない状態)、A子さん自身は施設に入ることを断固拒絶していて一人暮らしをしたいと強く望んでいたことから、私の方で新居を探してあげることとなりました。
私の方でA子さんがもともと住んでいたB市の不動産業者にお願いして、いくつか賃貸物件をピックアップしてもらいました。その後、不動産業者に病院まで迎えに来てもらい、A子さんと私達でB市内の賃貸物件を幾つか実際に行ってみて、A子さんに気に入った部屋を選んでもらいました。
賃貸物件の賃貸借契約手続き、電気・ガス・水道・電話の契約手続や立会、一人暮らしに必要な冷蔵庫・洗濯機等の購入や搬入立会等、それぞれ私の方で対応しました。また、B市市役所にて住所変更届け、年金・国民健康保険・介護保険・マイナンバー等の変更手続き等も私が行いました。金銭管理も私が行っています。
今、A子さんは、ケアマネの方々等の協力も得て、何とか一人暮らしが出来ています。私も定期的に会いに行って様子を見ています。元気で暮らしているA子さんを見るとほっとします。
今後、高齢者の方がますます増加していくことと思われますが、我々も弁護士として高齢者の方が健やかに暮らせるようサポートしていきたいと思います。