事件報告 個人の内心の処罰を許すな!〜憲法19条違反の共謀罪法の廃止を〜
安倍政権による憲法破壊の第3弾−共謀罪法の強行採決
個人が国家権力を監視するために必要な、憲法21条の「知る権利」を侵害する特定秘密保護法、憲法前文の「平和的生存権」に対する危険と侵害をもたらし、憲法9条に違反する安保法制の強行制定に続いて、個人の思想、思い、内心を絶対的に保障する、憲法19条の「内心の自由・思想良心の自由」を侵害する共謀罪(テロ等準備罪)法までもが、2017年6月15日に強行制定されました。
刑罰・処罰の対象は個人の内心であってはいけないという憲法19条の精神
私達の社会は、個人の集合体です。集合体なので秩序は必要です。その秩序を破る、具体的には、誰かが誰かの権利を傷つける、という場合には秩序の回復を図る必要があります。その手段の一つが国家権力のもつ刑罰権です。この刑罰権は、我が国では歴史的に大変濫用されました。1945年10月に廃止された治安維持法は国体変革などの思想を処罰することを目的とし、犯罪とされる行為も思想そのものを処罰できるものに広げて、生活のありのままを絵に描いただけでも、共産主義関係の本を自宅に置いただけでも対象としました。それによって数十万に及ぶ人々が逮捕され多くの人が虐殺や獄死などで命を奪われました。その結果、この国はものいえぬ国になり、戦争賛成一色で突き進み、あげくに大変な惨禍が国土とアジアの多方面にもたらされたのでした。憲法19条はこのような歴史に鑑み、個人の内心の重要性を認め、また如何なる考え方であっても考えただけの段階では他人の権利を侵害することはないという考え方にたって、内心の自由を絶対的に保障しました。共謀罪は、治安維持法と同様、あることを考えて誰かと話をしたという段階で刑罰権を科すというもので、凡そ認められるべきものではありません。
共謀罪法制定阻止に向けた熱い闘い
安倍政権は、「オリンピックを前に、テロ対策としてテロ等準備罪が必要だ。」「国連越境組織犯罪防止条約を締結するためにテロ等準備罪が必要だ。」「計画(共謀)だけでなく準備行為までして初めて処罰する形に法案を作ったから内心を処罰するものではない。」と国民受けするようなまやかしを述べて共謀罪法案を今年(2017年)の通常国会に上程しました。しかし「山でキノコ狩りする話まで処罰するのはテロ対策なのか?」「国連越境組織犯罪防止条約はむしろテロを除外してマフィア等の経済犯罪を対象とするとなっているが?」「準備行為と言ったって、犯行現場の下見が準備行為になるということなら、警察官が見て、ある人物が下見をしているのか花見をしているのかどう見分けるのか?」という鋭い追及が国会で続き、ここ京都でも各地で市民の方々が、弁護士会が、街頭宣伝を行ったり集会を行ったことによって問題点が急速に市民の間に広がりました。そしてついに制定反対の世論が賛成を上回ったのです。
強行制定とこれから
安倍政権は、都議会選挙に影響が出るとみたのか、国会法のルールに反してまで共謀罪法を、国会内部の多数議員の力を頼みに大急ぎで強行制定してしまいました。しかし、憲法19条違反の共謀罪法は違憲無効です。私達弁護士は、これからも廃止に向けて街頭宣伝活動・署名活動を展開していきます。共謀罪対策弁護団が全国組織として発足しました。「違憲な共謀罪は適用させない!」の思いで、不断の努力で共謀罪と闘っていきます!私も自由法曹団京都支部団員として、京都弁護士会共謀罪新設阻止プロジェクトチーム座長として引き続き皆さんと一緒に闘っていきたいと思います。