事件報告 「カルテがない」C型肝炎訴訟、被害救済を求めて提訴!!
訴訟提起
2013年8月28日、京都地方裁判所に、京都府在住の男性を原告として、C型肝炎国家賠償請求訴訟を提訴しました。
原告の方は、昭和60年頃、病院での検査及び手術の際に、特定フィブリノゲン製剤を投与されてC型肝炎に感染してしまい、慢性肝炎となり遂には肝癌を患ってしまったのです。
救済制度について
2008年1月16日にC型肝炎救済特別措置法が施行されました。これにより、C型肝炎に感染されている方は、一定の条件を満たした場合に、国から一定の給付金を得ることができるという制度が設けられました。
対象となる方は、出産や手術での大量出血などの際に、「特定フィブリノゲン製剤」や「特定血液凝固第・IX因子製剤」の投与を受けたことによって、C型肝炎ウイルスに感染された方とその相続人です。
給付金の支給を受けるためには、まず、国を被告として、訴訟を提起することが必要になります。
裁判手続の中で、①出産や手術での大量出血などの際に、「特定フィブリノゲン製剤」や「特定血液凝固第IX因子製剤」といった製剤が投与された事実、②製剤投与と感染との因果関係、③C型肝炎の症状、の3つについて判断がなされます。これが認められると、病状にあわせて一定の給付金(例:肝がん・肝硬変・死亡の場合4,000万円等)が支給されることになります。
救済制度の実際の問題及び被害者救済に向けて
ただ、実際には、特定フィブリノゲン製剤等が投与されたと思われる時期が何十年も昔のことで、病院のカルテ等の客観的資料が既に廃棄されてしまっている事案が多く見られます。こういった事案では、やむをえず訴訟提起を断念せざるをえない方々も数多くいらっしゃるようです。しかし、特定フィブリノゲン製剤等が投与されたという事実を立証するべく様々な工夫や努力を尽くすことによって、解決に至る場合もあります。
本件も同様の事案でありますが、被害者本人のため、また、今後同じ被害に苦しむ人たちのためにも、被害救済を求めて尽力していく所存です。
(担当弁護士:飯田 昭、寺本 憲治)