事件報告 仰木の里・幸福の科学学園進出問題 ~地域住民8,209名が建築確認の取消を求めて建築審査請求~
8,209名の審査請求
2011年12月12日、仰木の里及び近辺の地域住民8,209名が、幸福の科学学園に対し、民間確認機関がおろした建築確認の取消しを求めて、大津市建築審査会に対し審査請求書を提出しました。「建築審査請求」が8,000人を超える規模で行われるのは、全国的にも例がありません。
これに対しては、仰木の里弁護団(19名)を結成して支援しています(当事務所から飯田、谷、寺本)。
地域の状況
「仰木の里」はUR(旧住宅都市整備公団)が開発した滋賀県最大規模の閑静な住宅地です(施工面積188.8ha、計画人口1万6,000人)。その北側部分の公園に隣接する「谷埋め盛土」の一帯(学園建設予定地)は、地盤が軟弱であるため、住宅開発には不適当であり、未利用地として売れ残ってきました。
「幸福の科学学園」進出計画
ところが、URは7万9,000m²、5区画の学園建設予定地を大川隆法氏が率いる「幸福の科学グループ」の「幸福の科学学園」に売却、同学園は、全国から信者の子弟を集めた大規模な全寮制の中高一貫の「エリート校」を建設しようと計画しています。
開発許可の脱法と問題点
学園建設予定地は、校舎用地、寄宿舎用地、グラウンド、クラブハウス、駐車場等により構成されますが、都市計画法上必要な「開発許可」を免れるため、グラウンドについては時期をずらしたうえ、校舎と寄宿舎について別々に建築確認を申請し、しかも、これに伴う土地の改変行為は「開発行為」(区画形質の変更)にあたらないとして、大津市長より「開発行為非該当証明」を受けて、民間建築確認機関より建築基準法に基づく「建築確認」を取得しました(2011年10月)。
「開発許可」を受けるためには、道路、公園、給排水施設の確保、地盤沈下、崖崩れ、出水その他による災害の防止、樹木の保存、事業者の資力・信用の確保など、「建築確認」との比較において、はるかに詳細なチェックがなされ、開発地や周辺地域に上記の不備による被害が起こることのないようにチェックされますが、これらのチェックを全て「脱法」して、建築確認だけで建設しようとしているのです。
しかも、これらの過程においては、地盤の危険性や教育基本法・学校教育法上の学園の問題点(・教育施設の敷地の安全性確保の要請、・政党=幸福実現党や教団の個人崇拝の宗教活動との一体性)並びにこれまでの批判者への高額損害賠償裁判攻撃などに対し強い懸念を示す地域住民に対し、「最大最強の敵」などと誹謗中傷するなど、おおよそ「地域連携」が求められる学校設置計画とは相容れない異様な対応がなされてきました。
全国的にも最大規模の住民が建築確認の取消を求める審査請求に立ち上がる
建築確認がおろされた場合に、その取消を地域住民が求める手段としては、建築審査会に対し、60日以内に審査請求を行うことができます。そこで、12月12日、地域住民8,209名が、建築確認の取消しを求めて、審査請求を行いました。
取消すべき最大の争点
ここでの最大の争点は、明らかに「開発行為」=「区画形質の変更」に該当するにもかかわらず、開発許可を受けていないことが違法であることです。すなわち、「土地の形状の変更」、「土地の性質の変更」及び「土地の区画の変更」のいずれにも該当するため、建築確認は取消を免れません。
しかも、現地は谷や川を埋め立てた10数メートルにも及ぶ「盛り土」で、地盤が極めて軟弱であるため、住宅開発には不適当として放置されてきた公園に隣接する土地です。このような土地に開発許可によるチェックを受けずに大規模建築が行われると、地滑りの危険が著しく増大します。
審査会は最終段階に
3月1日に大津市役所で行なわれた建築審査会の公開口頭審理には、会場一杯の150名を超える住民が詰めかけ、国土問題研究会(奥西一夫理事長)からは、地盤の危険性を分析した詳細な意見書が提出され、白熱したプレゼンテーションが展開されました。
本年4月中にも、建築審査会の裁決が出される予定です。