交通事故裁判で逆転!後遺障害を認めさせました
突然交通事故に遭ってけがをし、後遺障害が残ってしまった…。現代社会に生きる誰もが交通事故の被害者になることがあります。A子さんも、そうした一人でした。ところが、保険会社は、A子さんの治療が長期間に及んでいるとして、治療費の支払いを打ち切ってしまいました。その上、A子さんの症状は、A子さんの持病のせいとして、交通事故の後遺障害とは認めなかったのです。
原因はどこにあるのか?
A子さんはあきらめず、裁判を起こすことにしました。裁判で後遺障害であると認めてもらうため、まず、A子さんの具体的な症状の調査をしました。
A子さんは、当時63歳、もともと脊柱管狭窄症がありました。脊柱管狭窄症は、主には加齢が原因ですが、痛みなどの自覚症状がないこともめずらしくありません。ところが、交通事故をきっかけとして、痛みが現れ、後遺障害となることがあるのです。A子さんは、まさにこのような例だったのです。被害者のもともとの状態と交通事故の両方に原因があることから、過去の裁判例は、交通事故による後遺障害と認めた上で、損害額については割合的に減額していました。
そこで、A子さんの裁判では、医学的な文献や過去の裁判例を証拠として提出しました。また、A子さんの主治医とも面談し、意見書を書いてもらいました。医療現場の実態として、患者さんによっては、手術という手段へのためらいから、治療が長期間に及ぶ場合があることにも触れてもらいました。
加害者の不注意の程度は?
本件では、加害者に100%過失があることに争いはありませんでしたが、A子さんに同行してもらって、交通事故の現場を確認しました。
現場は、交通量の多い道路と一方通行道路との交差点でした。一方通行道路を自転車で走行してきたA子さんは、交差点を横断するため、自転車から降りて車がとぎれるのを待っていました。A子さんが立っていたところは、一方通行道路とはいっても道幅は広く、見通しのいいところでした。加害者は、A子さんの目の前、交通量の多い道路を走りすぎていきました。ところが、その直後、加害者はA子さんのいる一方通行道路へ、バックで逆走して進入し、A子さんに衝突したのです。実は、一方通行道路の途中に加害者の自宅があり、加害者は自宅に車を駐車するため、日常的に交通違反を繰り返していたのでした。
裁判では、加害者には重い過失があることを明らかにするため、現場付近の住宅地図に書き込みをして証拠とした他、デジタルカメラで撮影した現場の写真も提出しました。
交通事故前は元気だったのに……A子さんの思い
A子さんは、事故に遭う前は、フリーの仲居の仕事をしていました。事故前には全く症状がなく、元気に働いていたのですから、今自分が苦しいのは、全て交通事故のせいだというのがA子さんの実感でした。そこで、A子さんの尋問では、その率直な思いを訴えることにしました。
打合せの際、客観的にも何か証拠がないか、仕事の性質上難しいかなと思いながら聞いてみたところ、事故のちょうど1年前、偶然に客から撮ってもらった写真があることが分かりました。写真の中で、今よりふっくらした着物姿のA子さんが微笑んでいました。「交通事故に遭ってから、痛くてご飯が食べられなくてやせてしまった」と言うA子さんの嘆きも、尋問に盛り込みました。
判決は、A子さんの主張内容をほぼ全て認め、損額総額から4割の減額をしたものの、加害者に約1,200万円の支払いを命じました。
交通事故の後遺障害認定では、A子さんのように裁判で逆転する例も珍しくありません。納得のいかない思いをされている被害者は、A子さんだけではないと思います。ぜひ、私たち弁護士に相談して下さい。
(プライバシー配慮等のため、事案を少し変えてあります)