京都弁護士会の活動
2009年4月1日から京都弁護士会の会長を務めています。弁護士会は基本的人権の擁護と社会正義の実現のために様々な活動を行っています。
裁判員裁判の始まり
2009年5月21日に実施された裁判員裁判は、戦後はじめて国民が裁判員として刑事裁判に参加する制度で、この制度が成功すればこれまでの刑事裁判、ひいては捜査のあり方をも抜本的に改革する契機になります。
裁判員裁判が実現したからといって、それだけで冤罪を防げるわけではありません。冤罪を防止するためには、裁判員自身が「疑わしきは被告人の利益に」の原則をしっかりと理解し、この原則に則って事実の有無を認定する必要があります。「疑わしきは被告人の利益に」の原則を理解する上で、最高裁第三小法廷平成 21年4月14日判決が大いに参考になります。裁判員法には3年後の検証が盛り込まれています。弁護士会は、全件について裁判員裁判の担当弁護人からアンケートをとり、法廷傍聴、事案検討会などを行って調査・検討します。
取調べ可視化の早期実現を
これまでの冤罪事件においては、捜査官による取調べの過程で自白の強要が行われ、裁判所がその自白調書を信用し有罪認定のための証拠とされてきました。再審開始決定がなされた足利事件でも、裁判所は精度の低いDNA鑑定の結果を信用し、強要された自白調書の任意性・信用性を認めて無期懲役の判決を言い渡していたのです。このような冤罪事件を防止するためには、取調べ全過程の可視化(録画)が絶対に必要です。
なお、弁護士会は、10月31日(土)午後1時30分から同志社大学寒梅館「ハーディーホール」において、菅家利和さん(再審請求人)を招いて足利事件をテーマに市民集会を開催します。多数のご来場をお願いします。
憲法の擁護
弁護士会は、基本的人権を擁護する法律家団体として、自衛隊の海外派兵や憲法9条改正案の問題点を指摘し、憲法の基本理念である恒久平和主義を守り、さらに世界平和の実現のためにこれを生かすことを求めています。弁護士会は、毎年「憲法と人権を考える集い」を開催していますが、今年は「戦争の記憶~君へ伝える 君が伝える」をテーマにして、12月6日(日)に国立京都国際会館において益川敏英さん(ノーベル物理学賞受賞)の記念講演会と中学・高校生による沖縄調査の報告会を開催します。多数のご来場をお願いします。