憲法運動 新しい局面へ
福田首相の誕生
9月12日、安倍氏が突然政権を投げ出した後、25日福田首相が誕生した。参議院選挙の与党大敗を受け、10月1日の所信表明演説は全般的に野党に対し低姿勢に終始したように見える。しかし、参議院での与党の大敗は国民の与党政治拒否の意思表示であるから、本来なら衆議院でも政権交代するか衆議院を解散して国民の意思を反映させるべきである。従って今の政府は国民の支持がからっぽのカラ政権である。
前政権の残した傷
とはいえ、安倍政権時に振るわれた暴力的国会運営の傷は深い。私たち有権者は、野党の審議時間の強行カットや20数回も強行採決を繰り返した安倍前首相を許せない。特に、重大なのは改悪教育基本法と憲法改正手続法の成立である。これらの法律の改善をめざす運動は重要な課題となっている。
自衛隊をインド洋・イラクから撤退させよう
当面の運動の焦点は自衛隊のアフガン派兵を許すかどうかである。小泉元首相は、アメリカに求められるままアメリカのアフガン攻撃に加担するテロ特措法を急いで作り、自衛隊はインド洋で給油活動等をしている。その期限が11月1日切れる。その延長や新法を求めてアメリカが猛烈な圧力をかけていきている。
しかし、当初これまでの給油量を20万ガロンと説明してきた政府は、民間団体の指摘で80万ガロンであることをしぶしぶ認めたように、基本的な情報すら知らないのである。さらに驚いたことに、イラク戦争に参加する米艦船にもアフガン特措法が流用されていることがほぼ確実となってきた。政府は、給油後の米艦船などの活動領域は知らないと逃げているが、米艦船は特定の時間にその位置を情報公開しており、それを見れば、艦船キィティホーク及びカウペンスはペルシャ湾の奥深くまで入り、イラク作戦に参加している。これでも政府は知らないと言い張るであろうか。
アフガン攻撃の目的であるアメリカのテロ撲滅という目的は全く崩壊している。その代わりに持ち出された「民主化」も民族対立を激化させてしまった。
テロをなくすのはその土壌である弱者への抑圧をやめ、暴力の連鎖を断ち切る方法しかない。それは国連を通じた長い時間をかけた真の停戦や民生の安定など復興計画を待つべきであろう。わが国の立場は、アメリカの軍事行動に加担することではなく、民生の復興支援に集中することである。逆に自衛隊の給油活動は戦争を継続させる有害な活動となっている。
私たちは、福田首相の、アメリカの給油継続への圧力を「国際公約」などといって外圧により押し付けようとしている姿勢を断固はねのけ、真の支援を国民的に討議すべきである。そして、自衛隊の海外派兵を止めさせよう。
憲法を大いに学び活用しよう
どうか、この秋、第一法律事務所が企画する憲法企画をはじめさまざまな憲法のための取組みに、多くの方が参加されるよう願うものです。