まきえや

憲法改悪の危機と京都憲法会議の運動

憲法改悪の危機と京都憲法会議の運動

今年2003年は、「立憲平和主義のまるごと危機」ともいうべき状況が急速に進行しました。3月20日の米英軍によるイラク攻撃に対し、小泉内閣は早々と支持を表明し、続いて6月には有事三法を成立させ、さらに、7月通常国会終盤には「イラク特別措置法」を強行に成立させて今年中にも、戦地へ自衛隊を派遣しようとしています。

憲法をめぐる危機

こうした動きと連動するように、2000年に5年をめどに衆参両院に設置された憲法調査会は、来年、最終年度を迎えます。

衆議院調査会は、2002年11月に「中間報告」を提出、その後最高法規・安全保障・基本的人権・統治機構の4つの小委員会を設置して、全条文を視野に入れた「調査」を行うなど、改憲案作成に向けての「地ならし」を進めています。有事法制化の動きに比べ、調査会の動きは衆参ともに地味ですが、継続的になされており、それだけに調査会の果たす改憲策動には注意が必要です。

2003年5月3日には、自民党憲法調査会が「国民の国家防衛義務」や「天皇元首」を盛り込んだ改憲素案を発表、2005年11月には、自民党の本格的な改憲案が作られる見通しです。加えて、改憲の国民投票法案の国会提出も現実味を帯び、国民の中に改憲論議が当たり前という状況が作られようとしています。このように、現在、憲法特に第9条が改変の危機に直面するという、今日極めて厳しい憲法状況にあります。

京都憲法会議の活動

ところで、京都に京都憲法会議(憲法改悪阻止京都各会連絡会議)という団体があることをご存知でしょうか。1964年に、末川博、田畑忍両教授らを中心に、思想・信条の違いを超えて、憲法改悪阻止の一点で団結し、一大国民運動を作るべく京都で結成されたのが始まりです(同時期に中央で中央憲法会議が結成されています)。以来、小選挙区制反対運動を皮切りに、「憲法を暮らしの中へ生かそう」をスローガンに活動を続けています。約40年間、さまざまな困難を乗り越えながら、学者・研究者・弁護士・労働組合などが中心となって地道な活動を続け、今日に至っています。

現在、中島茂樹立命館大学教授を事務局長として、若い研究者などが積極的に事務局を担い、5月と11月の大々的な「憲法集会」、約2ヶ月に一度の「憲法市民講座」を企画するなど、憲法の危機に警鐘を鳴らす活動を続けています。また、機関誌「暮らしと憲法」を発行するほか、「わくわく憲法ランド」(2001 年)、「ナナ何やねん、ゆうじホウセイて」(2002年)など、情勢に対応したパンフレットの発行なども行っています。

今年は、イラク攻撃反対の各平和運動との協力共同活動を進めながら、5月2日には、高橋哲也東京大学教授による「戦争への国家戦略に抗して」とのテーマで講演会を行いました。来る11月1日には、山内敏弘龍谷大学教授をお迎えして、「平和憲法の構想力」のテーマで講演等の準備を進めています。

京都の憲法運動のオピニオンリーダーとして

京都では、「守ろう憲法と平和、きょうとネット」を初め、平和や憲法を守る活動をする団体がいくつかありますが、京都憲法会議は、憲法改悪阻止それ自体を目的としており、情勢の分析と見通しなど、理論面でのオピニオンリーダー的な取り組みが期待されているところです。

その意味では今日まさに、京都憲法会議の出番であるといえます。私も事務局の一人として微力ながら奮闘する決意です。皆さん、京都憲法会議の活動にご理解ご支援をお願いいたしますとともに、厳しい憲法状況の中、ご一緒に憲法を暮らしの中に生かす共同の輪を広げていきましょう。

2001年京都憲法会議発行の憲法パンフ一冊200円

「まきえや」2003年秋号