まきえや

事務所設立40周年 決意新たに

事務所設立40周年 決意新たに

記念講演にロビン弁護士を迎えて

私たちの事務所は、今年で設立40周年を迎え、40周年を祝う会の方々の呼びかけで記念講演とレセプションが行われました。この記念行事開催にあたり、祝う会呼びかけ人の方々、ご出席いただいた各分野の方々には、大変お世話になりました。改めてお礼申しあげます。

あいさつに立つ呼びかけ人龍谷大学教授 萬井 隆令氏
あいさつに立つ呼びかけ人
龍谷大学教授 萬井 隆令氏

ロビンさんと国際連帯を確かめあう

さて、今回は、「規制緩和との闘い―いまアメリカで!」と題して、アメリカよりロビン・アレクサンダー弁護士をお招きして講演いただきました。ロビン弁護士は、現在、アメリカにおける民衆の弁護士団体であるNLB(ナショナル・ロイヤーズ・ギルド)に所属し、最も戦闘的な労働組合であるUE(全米電気労連)の顧問として、アメリカの規制緩和に反対する運動をはじめ様々な分野で活躍されています。丁度、記念講演で来日いただく10日前にアメリカでは同時多発テロが勃発し、ロビン弁護士の事務所のあるピッツバーグも飛行機の墜落があり、大変情勢が緊迫している中での来日となりました。

講演では、まずはじめに、これらのテロ行為について述べられました。国民の中には様々な意見があるにもかかわらず、受け入れられる論争の幅が狭められ、政府と大統領に盲目的に従うかけ声としての「ナショナリズム」が利用されつつあること、批判者には非愛国的またはテロリストのレッテルが貼られる恐れがある状況が報告されました。今、緊急に求めれているのは、暴力による解決ではなく国際連帯であると強く訴えられました。

以下、ロビン弁護士が講演で述べた内容を簡単にご紹介します。

アメリカにおける規制緩和と労働組合

アメリカにおいてはレーガン大統領による新自由主義経済(レーガノミックス)のもとで、企業の拠点は、労働組合が少なく組織化されていない南部地域、更には海外へ移されていきました。また、赤字を前提とするような社会政策や予算は間違いとの見解から、雇用の拡大など、国民への社会的支援は政府の役割から排除されました。そして今や、教育の分野をはじめ刑務所までもが民間企業によって運営されるようになったのです。

このような状況の中で、労働組合の組織率は20%まで落ち込み、社会の貧富の差が拡大して、現在、アメリカでは3000万人以上の人々が非正規雇用となっています。更に4400万人以上が医療保険を持っていないという実態も報告されています。

更に、NAFTA(北米自由貿易協定、アメリカ・メキシコ・カナダの三国間の協定)による影響で、過去5年間に50万人もの労働者が失業したとの推測がなされています。

しかし、アメリカの人々は、このような状況に甘んじているわけではありません。多くの国民が現在の医療体制に不満を持っており、労働者を守る強力な法律の制定や最低賃金の引き上げを求めています。そして、解雇攻撃に対しても労働組合が企業と闘い、組合員の権利を守っています。これらの国民・労働者が様々な困難に打ち勝って前進していくには、労働組合の組織強化、政府に対する厳しい監視が大切であり、そして今最も求められるのが国際連帯です。アメリカ企業は途上国へ拠点を移して就業規則も無い中で労働者を働かせようとします。しかし、途上国での労働者が闘うことによって企業の目的が阻まれます。それが、結果的にアメリカの労働者の仕事を支えます。つまり、全世界の労働者が連帯して闘うことによって全ての労働者の権利を守ることができるのです。そのことは、アメリカ国内の日本企業におけるUE活動家の解雇事件が、日本の全労連の支援によって勝利したことにも示されています。

最後に

ロビン弁護士の講演に続いて、設立40周年を祝うレセプションが催され、400名の方々にご出席いただきました。来賓の方々をはじめ、ご出席の皆様から多くの励ましのお言葉をいただき、誠にありがとうございました。所員一同、国民のための司法を実現する一翼として、皆さんへの法的サービスの充実につとめ、今回の40周年記念行事を新しい出発点として更に奮闘する決意を新たにしました。

(事務局 池田幸代)
所員一人ひとりが決意新たに
所員一人ひとりが決意新たに
「まきえや」2001年秋号