京都第一

[ダイイチNEWS 02] 誰もが差別をされない社会に向けて ~旧優生保護法 最高裁勝訴判決~

画期的な最高裁判決

障害をもつ人に対して、強制的な不妊手術を行うことを認めていた旧優生保護法。この法律に基づき、手術を受けさせられた被害者達が、国に対して、賠償を求めていました。一番の争点が、除斥期間により損害賠償請求が消滅しているか否かです。除斥期間とは、民法に定められたルールで、手術後20年が経過すると、損害賠償請求の権利が消滅してしまいます。

2024年7月3日最高裁判決では、まず不妊手術を強制させる旧優生保護法の規定は、憲法に違反した法律であったとしました。そして、優生手術の被害者に対し、国が除斥期間を主張することは、信義則に反し、権利の濫用として許されないとしました。

国が除斥期間を主張することが許されないとされた理由として、不妊手術を行う際には身体の拘束、麻酔薬施用又は欺罔等の手段を用いることも許される場合がある旨の通知を発出する等、国が非人道的な方法を使ってでも不妊手術を強硬に推進してきたこと、そしてその被害を長年放置し続けてきた責任の重さが指摘されました。

補償法も制定されました!

今回の最高裁判決を受け、国との協議が進められ、訴訟を提起をしていない被害者の方も含め、補償を行う立法が制定され、2025年1月17日に施行となります。

手術を受けた被害者の方には、最高裁判決で認められた金額と同水準の1500万円の補償金が支給されます。さらに、最高裁判決よりも踏み込み、手術を受けた方の配偶者に対しても、500万円の補償金が支給されます。これは、子どもを作る機会を一方的に奪われたという人生被害は、配偶者も同じであるという観点からの補償です。

補償金の申請には、優生手術を受けたことを一定程度示す必要があります。しかし、手術自体が何十年も前のことや手術を記録している病院のカルテが存在していないケースがほとんどです。また、優生手術に関して行政が持っていた資料も廃棄されている可能性が高いです。それでも、手術の傷跡が今も残っていないか等、現在ある証拠をもとに、申請を行うことは十分に可能です。手術の記録が手元にないことで、申請を諦める必要はありません。

また、優生手術の被害を受けた方の中には、最高裁判決が出されたことや新たな補償法が制定されたことを知らない方もまだまだ多いです。一度奪われた尊厳を取り戻すことができないままであってはいけません。これらの情報を広め、適切な補償が、被害を受けた全ての人に届くよう、活動を続けていく必要があると考えています。