父が亡くなって半年。父の面倒を見ていた、3人兄弟の一番上の兄から「父の財産は全部自分が引き取るので、ハンコを押してほしい」という手紙が届きました。兄とケンカしたくないのですが、何もわからないままハンコを押すことにも抵抗があります。繰り返しますが、あまりケンカはしたくないのです。
まずは相談で事務所にお越しください
弁護士の仕事は、相談から始まります。相談料は、30分で3,300円(税込)が目処です(本パンフレットをご持参いただければ、誰でも初回30分の相談料は無料)。顧問先や法テラス利用などで無料にできることもあります。相談を予約する際にお尋ねください。
いずれにしても、まず事務所に足を運んでもらうことが肝要です。ご相談者さんのお望みは兄弟間でケンカしたくないとのこと。弁護士は、ケンカをせず人間関係をスムーズにするのが重要な職責です。そして、あなたに兄弟から手紙が届いたのですから、無視はいけません。何らかの対応は不可欠です。
では、どんな対応をすれば良いのか、それを知るためにも、まずは、事務所に足を運んでください。そして、どんな権利があるのかを十分に知ったうえで、どんな風に対応するのがベストか? 無用な争いを避け、ご自身の権利を護る道を弁護士に聞いてください。
遺産分割は遺産の内容を知ることから始まります
相続については、あなたにもお兄さんと同じ権利があります。3人のご兄弟は同等です。たとえ一番上のお兄さんが、お父さまが亡くなるまで面倒を見ていた場合でも、そのためにあなたが相続ができなくなることはありません。
遺産の内容がわからないのでは、話の進めようがありませんので、私たちは、まず、遺産を管理していた当の本人、お兄さんに直接確認することをお勧めします。
よくあるのは「お兄さんが率直に話してくれない」というケースです。その場合には、自分で調べることも重要です。どうやったらわかるのか、遺産の調べ方をお教えするのも法律相談における私たちの重要な役目です。
もちろん手間のかかる作業ではありますので、いつでも、弁護士に依頼をしていただくことができます。依頼をすれば、弁護士が何をしてくれ、その後どうなるのかがわかります。その内容を確認することも法律相談の重要な内容の一つです。
お父さんの面倒をみたお兄さん。『寄与』という考え方があります
面倒を見てきたというだけで、権利関係が変わることはありません。しかし、お兄さんが、お父さんの遺産を増やしたとか、減るのを食い止めたとか、遺産の増減があると、その部分について、その人の相続割合が増える可能性はあります。これを「寄与分」と呼んでいます。
お兄さんが「寄与分」を理由に、「より多くの財産を相続したい」と主張すると、争いに発展することはしばしばあります。ただ、寄与分を金額として具体的に証明することができないと駄目なので、実際のところその証明は大変難しいのが現実です。
あるはずの預金がなくなっていたりする場合もありえます
ややこしい問題の一つに、あるはずの遺産が残されていなかったということがあります。お父さん自身が預金を引き出している時には、行き先を突きとめるのは難しい場合が多いものです。ただ、お兄さんがお父さんのお金を管理していて引き出した場合には、その使い道を確認する必要があります。
お父さんのために使っていなかった場合、お兄さんの「特別受益」(亡くなった人から特別に受けた贈与)と見なされて、そのぶん相続で受け取るお兄さんの財産から差し引くことができます。
また、あなたはお父さんがどこに預金していたのかをご存じでしょうか? その金融機関に出向いて相続人であることを明らかにしたら、過去10年分の履歴を出してもらうこともできます。
兄弟間の仲が、遺産相続で悪くなる。それを一番悲しむのはお父さんです
もし遺産分割の話で、兄弟が仲違いをしたら、一番悲しまれるのはお父さんです。できるだけ遺産の内容を透明化して、十分話し合いを尽くすことが何よりも大切です。
弁護士は、話を円滑に進めるために仕事をします。また、どうしても主張が噛み合わないときには家庭裁判所の調停を利用します。弁護士がいることで、円滑に話し合いを進めていくことができます。