サービス残業が多い今の会社から転職を決めたので、これまでの残業代を請求したい。しかし具体的にどうしたらいいのか? 友人は「弁護士に相談しろ」という。人生初の弁護士相談、残業代がもらえるまでの流れって、いったいどうなっているんだろう?
初回30分無料!
ネットで相談を申し込む
背中を押してくれたのは、冊子の「初回相談30分無料」の文字だ。無料なんだから、聞くだけ聞いてみよう……。「京都第一法律事務所」のウェブサイトを検索、「メールで予約」から入力フォームを立ち上げた。
「相談分類」は「労働・労災」を選ぶ。概要は「残業代が未払い」で送信した。翌日、事務所から予約日と担当弁護士を伝えるメールが届く。「当事者双方の相談は受けられないので、相手方の氏名を事前に教えてほしい」とのこと、なるほど。会社の名前を書いて、返信しておいた。
初めての相談、弁護士さんは「残業代が請求できるか」を見極める
相談当日。事務所の相談室で必要事項を記入していると、弁護士さんが登場する。
「サービス残業ですね。請求ができるかどうか判断したいので、状況をお聞かせください」。あいさつの後にさっそく、聞き取りが始まった。
仕事の内容、労働時間(所定労働時間と残業時間)を話して、念のためもっていった給与明細書を弁護士さんに見せた。
「給与明細に会社が『残業代のつもりで支払っている』と主張しそうな手当もありません。なのに長時間労働しているとのこと、この状況なら会社に残業代は請求できると思いますよ」えっ、本当に?
示談で済めば着手金は6万円+消費税
残業代と比較、契約へ
「ご依頼いただいたとして、示談で済めば着手金6万円+消費税です。加えて成功報酬がかかります」
ただ、もし会社側が示談に応じてくれなければ、労働審判まで進む必要があるという。その場合は追加で3万円+税(合計9万円+税)。さらに訴訟になれば、追加でもう3万円(合計12万円+税)かかるという。他にかかるのは事務費の先払いが5,000円だ。
電卓で計算してみた。出費と、弁護士さんがざっと計算した会社への請求額と比べたら、残業代を請求する方が確実に有利だ。
ただ、会社の対応次第で、期間は数ヶ月~1年かかることが一般的らしい。善は急げだ。弁護士さんと契約すると決めた。その場で契約書にサインをして、帰宅した。
契約翌日に告知のFAX
会社の顧問弁護士と示談へ
早速、契約の翌日に弁護士さんから電話があった。会社にFAXで「未払い賃金を払ってほしい」「労働契約書、就業規則、労働時間のわかる資料(タイムカード)などを開示してほしい」「1ヶ月以内に連絡が欲しい」と伝えたという。
「このFAXの手続きで、時効が延びました。今後、会社がどんな対応を取るかで、示談になるか労働審判に進むかが決まります」と弁護士さん。今、自分にできるのは心おだやかにひたすら待つことだ。
3週間後、弁護士さんから電話があった。会社が顧問弁護士を立て、示談に向けて動き始めているそうだ。正直、ほっとした。
「会社の顧問弁護士が、タイムカードのコピーを送ってくれます。それをもとに、表計算エクセル『給与第一』で私たちが正確な残業代を計算します」。
正確な額を算定、合意書を経ていよいよ口座振り込み!
2週間後に額が計算できたこと、確定した請求額について、詳細なメールがきた。請求額を見て、当初に聞いていた額よりも多くて驚いた。これはありがたいに尽きる。うれしさのあまり、弁護士さんに電話をした。
「よかったです。この額で問題なければ、会社の顧問弁護士と私、つまり弁護士同士が交渉して、話を進めます」
いよいよクライマックスへ……! といっても弁護士さんがすべてやってくれるので、自分はメールを確認するだけだ。その後、会社は請求額の8割ほどなら1ヶ月後に支払う、との報告。早く解決したかったので、合意書を作ってもらった。あとは、いったん担当弁護士の口座に入金されて、そこから成功報酬と事務費用を精算した額が私の口座に振り込まれる流れだ。
いよいよ最初に京都第一法律事務所を訪れた日から丸5ヶ月。私は通帳への請求額の振り込みを確認した。自分の残業がしっかりお金で認められたこと、そして自分の「正義」(残業代が支払われないなんておかしいという気持ち)が、社会に認められた気がする。それがなによりもうれしい。