京都第一

事件報告:親族後見人の監督怠る 国に1300万円の賠償命令

事件報告:親族後見人の監督怠る 国に1300万円の賠償命令

2018年、年始早々、後見人に対する家庭裁判所(国)の後見監督責任を問うた裁判で、勝訴を勝ち取りました。

事案は、以下のとおりです。原告Aさんは、Bさんの相続人。Bさんは、亡くなる年まで、20年以上もの間、継母Cを後見人として施設で生活していました。後見人とは、判断能力の低下した人の財産管埋をするために家庭裁判所から選任された人です。

家庭裁判所(以下「家裁」といいます)は、後見人を監督する義務・職責があります。本件でも、家裁は、後見人就任当初は、後見人Cに対し、数年に一度、家裁へ管理状況の報告を求めていました。ところが、家裁は、被後見人Bさんが亡くなる前8年間、後見人に一切の報告を求めませんでした。その間6000万円強存在していた金額が、Bさんが死亡した時点では、ほぼゼロに近い状態になっていました。後見人Cは、過去にBさんの財産管理において多額の使途不明金(1000万円以上)を出したこともありました。にも関わらず、後見人を解任せず、後見監督人も付さず、その後、8年以上、定期的な報告さえ一切、求めませんでした。

本件裁判を提訴する前から、家裁は、後見人に1年に1回の定期報告義務を課すなど、極めて厳格になっています。定期報告の内容は、後見人に、一定期間の支出と収入と財産の現状(預貯金通帳の残高などの資料)を出させ、使い途が適切に説明できるかどうかなどをチェックします。そして、不適切な支出などがあれば、指導や返還を求めたりして後見監督をするしくみです。本件判決は、5年を超えて放置し続けたことを問題視し、「確認の手続きを取っていれば、不適切な支出は防止できた」として、家裁の監督義務違反があったことを認め、約1300万円の賠償を認めました。

後見人についての後見監督責任を国に命じる判決は、まだまだ少ないため、本件判決は、極めて意議ある判決といえます。ところで、国は、原判決に対し、控訴しました。控訴審でも勝訴できるよう引き続き、頑張ります。

「京都第一」2018年夏号