事件報告:建設アスベスト事件、全面勝利解決へあと一歩
京都訴訟の控訴審(大阪高裁)が2月に結審し、夏頃判決へ
建築労働者の多くが影響を受けている建設アスベスト事件は、2017年10月27日、東京高裁で、高裁レベルで初めての判決が出され、国とメーカーの責任が厳しく断罪されました。国は、この判決で7連敗となり、企業は、京都地裁・横浜地裁についで、3回も敗訴判決を受けたこととなります。
思い起こしますと、2年前の2016年1月29日、京都地裁が、はじめてメーカーの責任を認める判決を言い渡しました。これが2017年秋の横浜地裁へ、そして東京高裁へと、建設アスベスト事件の勝利への道を切り開いていったと言えます。
建設現場には、長期間にわたり大量のアスベスト建材が持ち込まれ、国とメーカーの安全対策がないままに建築労働者は被曝していきました。アスベストは、肺がんや中皮腫など深刻かつ重大な疾病を引き起こしますが、被曝から発症まで、10年から40年という潜伏期間があるのが、被害が埋もれてしまう最大の要因になっています。ですから、未だ発症していない被害者も数多くいるのです。
そして私たちも、アスベスト建材に囲まれて生活をしているわけですから、これから先も多くの被害が生まれることが懸念されます。
そんな中で、どうしても必要なことは、これまでに明らかになってきた多くの被害と、これからも発生する多くの被害に対し、国とメーカーが責任を持って、十分な補償を行い、十分な対策がとれる制度を作ることです。国とメーカーには、補償制度を作る責任のあることが、これまでの裁判で明らかにされてきたのです。
2018年早々には、京都地裁で勝訴した事件が、大阪高裁で、結審し、判決を迎えることとなります。ここでも勝利をすることで、全面解決に大きく舵を切らせることができると確信しているところです。
「生きているうちの解決を」多くの被害者が、こう叫びながら闘い半ばでいのちを落としていきました。残されている時間はありません。
皆様方のいっそうのお力添えを強くお願いするところです。(当事務所の弁護団:村山、秋山、大河原、谷)