労働事件 特集2:「設計の仕事がしたい」~訴え続けた技術者の想いに応える配置転換無効判決~
1 追い出し部屋へ
設計業務をしていた原告ら2名は、「設計と営業の架け橋となる重要な新部署(7名体制)」への配置転換を命じられました。
しかし、同部署は稼働実態がないまま1年後に廃止されて課になり、また廃止されるなど迷走。その間、原告らは設計業務から外され、賃金体系の変更も示唆されたため、労働組合を結成します。
すると会社は、その2週間後に再び同じ名称の部を設置し、原告2名のみを配転。他従業員から隔離する小さなスペースに追いやりました。まさに追い出し部屋です。
2 4年半に及ぶ闘い
団体交渉で元の部署に戻すよう訴えるも、会社側は権限ある者の出席さえありません。そこで、労働委員会に不誠実団交の救済命令申立をしたところ、「会社は必要な説明を尽くしたとは言い難い」「今後団体交渉の申入れがあった場合、会社もこれに応じる必要がある」との付言を得ました。
同時に、配転が違法・無効であることの確認と慰謝料を求め、京都地裁に提訴。会社は配転理由を「業務上のミス」「元同僚らの反対」と説明するも、根拠に乏しく、原告の1名を課長代理としてきたことや、当初「重要な部署」に配置したこととの矛盾が際立ちました。一方原告らは、毎日「技術資料黙読」と記した業務日報を示し、会社に「仕事をさせてください」と言い続けてきたと訴えました。
3 配転命令を無効と断ずる画期的な京都地裁判決
2017年2月、京都地裁は、配転先では「余りにも業務が過小であった」とし、配転が違法・無効であると宣言。「担当業務が乏しい中での就業を強いられ、精神的苦痛を受けた」と、慰謝料の支払いを命じました。
原告らの技術者としての強い信念と、JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)や京都総評の総力をあげた支援の力で勝ち取った判決。労働者が団結し、自分と仲間を信じて闘えば要求は実現できると痛感しました。
これから控訴審です。今後も団結して闘い抜きます。ご支援よろしくお願いします。
(弁護団:奥村、谷、寺本、高木)
弁護士 高木 野衣