特集:若手弁護士座談会
やっぱり労働事件は多い
大河原 第一法律も若手が増えてきて活気があるよね。みんなどんな事件に取り組んでいるの?
尾﨑 やっぱり労働事件は多いですよね。解雇事件とか残業代の事件とか。
寺本 うちの事務所はみんなそうだよね。
大河原 労働者の権利を護るのが第一法律の存在意義の一つだからね。
谷 渡辺弁護士の作った残業代計算ソフト「給与第一」も、残業代事件に力を発揮してくれています。
大河原 ホームページからのダウンロード数も毎月数百件あるし、労働者の権利を護るために全国的に貢献しているね。
寺本 セクハラやパワハラの相談も増えているよね。
高木 私も何件も担当しています。セクハラ事件が多いのは、女性弁護士ならではかもしれません。
尾﨑 そうだね。ほかに、女性と男性がタッグを組むこともあるよね。
高木 女性弁護士が複数で担当することもあります。
大河原 事案によって柔軟にチームを組めるのは第一法律の強みだね。
過労死事件にも取り組んでいる
大河原 労働事件でいうと、確か谷さんは過労死事件にも取り組んでいるよね?
谷 そうですね。
高木 ウェザーニューズの気象予報士さんとか御所南小学校の先生とか。ニュースになりましたね。
寺本 去年は大学の先生の過労死事件もあったのでは?
谷 そうだね。残念なことに、そういう危険はどの職場にもあるんだ。
大河原 大学の先生か。それはかなり珍しいね。労災認定を勝ち取れたのは画期的といっていいのでは?
谷 この事件は、大ベテランの村山弁護士と尾﨑さん、僕の3人で担当したんです。ベテランと若手が力を合わせて事件に取り組めるのも、第一法律ならではだと再認識した事件です。
尾﨑 この方の場合、ご遺族が労災申請を諦めかけたことがありましたよね。
大河原 そうなんだ! 確かに、ご本人やご家族が不安を感じやすいのが労災事件でもあるよね。
谷 ええ。その気持ちに寄り添うことも大切だと思っています。この方の場合も、不安なお気持ちに寄り添って労災申請を行い、無事に認定されたんです。
尾﨑 とても感謝して頂きましたよね。
谷 そうだね。大学の先生ということで難しい面もあったけど、村山弁護士のアドバイスもやっぱり的確だったよ。「労災認定の通知が届きました」という電話は、きっと忘れることはないと思う。
寺本 過労死事件などは大変だけどやりがいがありますよね。
高木 私もそう思います。
働き方そのものを変えていかないと
谷 でも、過労死が起きてしまうような社会ではやっぱりいけないと思う。働き方そのものを変えていかないと。
大河原 そのとおりだね。社会に働きかけていくことも第一法律の役割だ。その意味では、昨年成立した過労死防止基本法については寺本さんが熱心に活動していたね。
寺本 過労死遺族の方々と一緒になって街頭宣伝や署名活動、議員要請などを繰り返しました。他の仕事も抱えながらなのでとても大変でしたが、法律が成立したときは感無量でした。
尾﨑 長時間労働が当たり前の社会が変わるきっかけにしたいですよね。
寺本 そうだね。法律は成立したけど、これからも運動を続けることが大事だと思うよ。
運動の大切さ ─ あすわか、憲法9条、脱原発
大河原 運動の大切さを実感する法律だね。運動というと、谷さんや高木さんも街宣なんかに積極的に参加しているようだね。
谷 ええ。多いときは毎日のように街宣で訴えています(笑)。
高木 確かに(笑)。事務所の若手が全員参加している「明日の自由を守る若手弁護士の会(「あすわか」)」でも、憲法のことを知ってもらおうと活動していますしね。
寺本 学習会とか憲法カフェとかね。
高木 かわいいキャラクターやリーフレットも作っていますし、フェイスブックもあります。女性誌VERYにも載ったんですよ!でも、運動といえばやっぱり尾﨑さんでしょ!
寺本 そうそう。Xバンドレーダーから集団的自衛権、教育問題から原発問題まで、幅広いよね。
尾﨑 自覚してます(笑)。Xバンドの問題は、この京都で「憲法9条」が問われているわけですから、力が入りますよね。
大河原 そう思う。経ヶ岬は遠いけど、僕も何回も現地まで出かけて行ってるよ。
谷 僕も行きたいんですけど、車酔いがひどいもので…。
高木 前に行ったときもヘロヘロでしたもんね(笑)。
谷 こらこら(笑)。原発の方はどうなの?
尾﨑 昨年は福井地裁で大飯原発の差し止めを命じる判決が出るなど、運動の成果が表れてきています。京都でもますます盛り上げていきますよ!
大河原 差し止めだけではなくて、福島原発事故の避難者の支援もしているよね?
寺本 僕と高木さんが、原発事故で福島から京都に避難されてきた方たちの東京電力に対する賠償請求訴訟に参加しています。
高木 避難してきても被ばくによる不安はずっと続きますし、家族が離れ離れになってしまった方もおられます。
憲法を暮らしの中に生かす
大河原 原発は必ずなくさないとね。他にはどんな事件に取り組んでいる?
谷 京建労が取り組んでいるアスベスト訴訟やヘイトスピーチの事件、京都大学の賃下げ事件などがあります。
高木 若手は弁護団事件も多いですよね。
谷 フットワークを生かしていろんなことに取り組めるのも若手の強みだね。僕の担当した少し前の弁護団事件だと、成年被後見人の選挙権の裁判があったっけ。
寺本 成年被後見人に選挙権を認めていなかった公職選挙法の規定が憲法に反して無効だと判断された裁判ですね。
大河原 この件は、正に憲法を暮らしの中に生かすという取組みが結実した裁判だったと思う。この判決のおかげで選挙に行けるようになった方が全国で13万人以上いるということだし、やっぱり憲法って大切だよね。
高木 ええ。でも、安倍政権では憲法をないがしろにする政治が続いています。
尾﨑 昨年は、集団的自衛権を容認する閣議決定や秘密保護法の施行などが続き、憲法「改正」の動きも続いています。
大河原 こういうときこそ、国民の意思をはっきり示すことが大事になってくる。昨年11月に行われた沖縄知事選挙で、米軍の新基地建設反対の声が政治を大きく動かしたように、京都でもきっぱりと意思表示をしていかなくてはなりません。
寺本 大事な局面ですよね。
高木 憲法を護るための活動、私もがんばりますよ!
やっぱり寄り添うことは大切
大河原 労働事件以外の事件でいうと、どんなのが多いのかな?
寺本 僕は交通事故被害者からの相談や依頼が多く、保険会社の対応の不十分さをいつも感じます。
尾﨑 早いうちから弁護士が入ることは、間違いなくプラスですよね。
大河原 僕もいろんな事件をやってきて、そのことを実感しているよ。
高木 あとは高齢者の方の相談です。遺言や相続はもちろん、後見などの財産管理の相談が増えているという印象です。
谷 行政の方からも相談などを受けますし、虐待案件など大変なものもありますが、本人さんのお元気な姿を見るとやっぱりうれしいです。
寺本 やっぱり寄り添うことは大切ですよね。
大河原 そうだね。若手だからこそ、フットワークを生かして依頼者に寄り添い、いろんな活動をしていくことができるんだ。忙しいとは思うけど、一緒に第一法律事務所を盛り上げていこう!
谷、寺本、尾﨑、高木 はい!!