違労災補償の男女差別について違憲判決を勝ち取りました
労災保険では、外貌(顔や頚など)に著しい醜状が残った場合の後遺障害について、等級に男女で大きな差が設けられています。
本件では、労基署長は、労災事故で顔や頚など身体中に大やけどをした原告男性の後遺障害について11級と認定し、平均賃金223日分の一時金を支給しました。
しかし、これが女性であれば、5級の認定を受け平均賃金184日分の年金が補償されます。これは、性別による差別を禁止した憲法14条1項に違反する処分です。
これに対して国は、外貌醜状によって受ける精神的苦痛や就労機会の制約の程度が男性に比べて女性の方が大きいという社会通念があるとして、差別は合理的であると主張していました。
しかしながら、2010年5月27日、京都地方裁判所は、男女で5級もの差を設けている労災保険の障害等級表は違憲であるという判断を下し、労基署長の処分を取り消しました。そして、意外なことに国が控訴を断念したことにより、本判決は確定しました。
国は、障害等級表の見直しを行うとしていますが、男女差別を許さず、男性にも女性と同様の補償がなされるよう求めていきたいと思います。
「京都第一」2010年夏号