[事件報告4]
野球少年の熱中症死亡事故事件
謝罪をさせた勝利的和解により解決
2005年10月1日、京田辺市の少年硬式野球チームの練習において、部員であったA君(当時13歳)が「熱中症」に罹患し、翌日死亡するという痛ましい事故が発生しました。A君は早朝から開始された練習に続き、午前と午後に各1試合をこなしましたが、結局予選敗退という結果となり、総監督からペナルティ練習を命じられました。夕方から始まったペナルティ練習は、10球連続ストライクの投球練習に続き、20mダッシュ100本、30mダッシュ100本、さらに坂道ダッシュ200本という過酷なものでした。A君は最後の坂道ダッシュの途中で倒れて起き上がれない状態になったにもかかわらず、総監督が30分以上放置していたため、救急車で病院に運ばれましたが、結局熱中症のため死亡してしまいました。総監督は不慮の事故として自分の責任を認めようとしなかったため、A君の両親は京都地裁に民事訴訟を提起し総監督の責任を追及しました。裁判所から、総監督は遅くともA君が倒れた時点でA君の容態を観察し熱中症に罹患していることを把握し、適切な処置をとるべき注意義務を怠った過失があるとして、和解勧告がなされた結果、2007年10月、(1)総監督はその責任を認め衷心から謝罪する、(2)熱中症に関する知識を十分に習熟して、熱中症防止のため最大限の努力をする、(3)相当なる解決金を支払うこと、などを内容とした勝利的和解が成立しました。
「京都第一」2008年新春号