欠陥住宅事件で業者と京都市の連帯責任を認める
伏見区久我の田圃を造成して建築・販売された住宅の住民11世帯が、業者(n信和住宅)と、住宅に隣接して排水路工事を行った京都市の双方を被告として総額3億3600万円の損害賠償を求めていた裁判で、京都地裁は10月18日、原告全員について業者の責任を認めるとともに、9世帯については京都市の連帯責任を認め、総額8200万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
業者は軟弱な地盤の改良を十分に行わないまま住宅を建設、販売しており、販売直後から不具合が生じ始めていました。そこへ、京都市が隣接して排水路工事を行ったため、工事が行われた側(田圃側)への擁壁及び住宅の傾き、ひび割れが激しくなり、工事終了後も進行しています。
そこで、住民は業者に対して欠陥住宅問題として瑕疵担保ないし不法行為責任の追及をするとともに、京都市に対しては軟弱な地盤であるにもかかわらず、十分な対策を怠ったまま工事を行ったとして、連帯して不法行為責任を追及してきました。これに対し、業者は工事が問題で京都市のみに責任があると主張し、京都市は欠陥住宅なのだから業者のみに責任があると主張しました。
裁判は土木・建築の専門家の協力を得て進め、判決では、11世帯のうち9世帯について、業者の責任だけでなく、軟弱地盤であるにもかかわらず、採用したウオータージェット工法は不適切であったとして、京都市の連帯責任を認めました。
もう一つの争点であった被害の回復方法については、ジャッキアップによる薬液注入の方法による補修額相当の損害や慰謝料等は認めましたが、請求していた建て替えによる地盤改良までは認めませんでした。
一審判決を受けて、業者は判決通りの賠償を行いましたが、京都市は控訴しました(住民側も控訴)。大阪高裁での控訴審では、11世帯全員について京都市の連帯責任を認めさせることと、損害賠償額の増額を認めさせるために努力します。