事件報告
高利商工ローンの被害を根絶するために奮闘
商工ローン最大手の日栄問題が、連日マスコミで取り上げられています。私たちの事務所でも、昨年秋以降、被害対策弁護団の弁護士を中心にして、日栄に対する手形の取立差止の仮処分に取り組み、次々に裁判所の決定を得てきました。
たとえば、日栄に1000万円を超える手形を入れて、息つく暇もなく利息の支払に追われている被害者の人も、私たちが膨大な資料を分析して利息制限法で計算すれば、日栄に払う義務がないどころか、300万円も払い過ぎになっているのです。しかし、日栄が手形を取立に回した場合、決済資金を用意できなければ、銀行で不渡り処分を受けて倒産してしまいます。そうなれば、家族は勿論、従業員の人たちまで路頭に迷うのです。次の決済期日までに裁判所の決定をもらって、手形の取立を止めなければなりません。時間との勝負の中で、事務所一丸となって頑張ってきました。
また、昨年秋の京都弁護団の結成、集団訴訟の提起についても、民主商工会の皆さんと協力しながら、主体的に活動しました。日栄の本店がある京都でのこうした活動は、マスコミでも大々的に報道され、全国の被害者や支援の人々を励ましたものと思います。
被害者の方々の営業と暮らしを守るための裁判、交渉はもちろんのこと、中小企業には貸し渋りをしながら商工ローンには融資していた銀行の責任追及、被害を根絶するための金利規制の実現に向けて、引き続き奮闘します。
養護学校のけいわんと腰痛
養護学校の教員である小谷美世子さんと西垣志津嘉さんが、相次いで京都地裁で勝訴しました。重度心身障害児教育にたずさわるなかで、小谷さんは頚肩腕症候群に、西垣さんは背腰痛症にり患しましたが、いずれも公務災害と認定されず、10年を超える闘いの末、判決でようやく仕事によるものであることが認められたのです。とくに判決は、障害児学校で「けいわん」や腰痛が多発していることや、障害児教育が、そうした病気をひきおこす危険性のあることを認めた点で画期的です。
しかし失われた健康は戻りません。早期の予防と認定を求める取りくみが必要です。
日本バブテスト病院解雇事件
日本バプテスト病院の事務職として20年以上勤務してきた木下隆子さんが解雇無効を訴えて闘ってきた裁判は木下さんの勝利和解により解決しました。97年 1月に仕事上の些細なトラブルから職場放棄と決めつけられ、自宅待機を命じられたまま1年が経過し、不安を感じた木下さんが医労連に加盟し、病院に交渉を申し入れた途端、解雇されたのです。裁判では、病院の事務長が木下さんの非協調性、職務懈怠、規律違反など並べ立てましたが、職場の多くの元同僚が木下さんの仕事ぶりや人格について語ってくれました。また、木下さんも病院側弁護士の攻撃的な尋問にも冷静かつ的確に反撃し、裁判官に不当解雇であるとの確信を持たせました。そして、裁判所主導の和解となりました。この争議をきっかけにバプテスト病院には医労連の分会が生まれました。