遺失物法・少年法・DV防止法の改正
遺失物法・少年法・DV防止法の改正
落とし物の保管期間が短縮されました!(遺失物法の改正)
私も今までなんどか「お世話」になっている遺失物法が改正されました。
(1) 保管期間が大幅に短縮されます
従来、落とし物が警察署に届けられたときは、6ヶ月間保管されることになっていましたが、今回の改正で保管期間が原則として3ヶ月に短縮されました(法7条4項)。さらに、傘、衣類、ハンカチ、マフラー、ネクタイ、ベルトその他衣服と共に身に着ける繊維製品又は皮革製品、履物、自転車については保管期間が2週間になり、大幅に短縮されました(法9条2項各号、施行令3条)。この点は注意が必要です。
(2) 交通機関や百貨店は各自で保管します
鉄道・バスの駅、港、空港、百貨店、遊園地等は、従来、施設内で発見された落とし物を警察署に届け出ていましたが、法の改正により、これらの期間については、各自の施設で落とし物を保管することになりました。今後、これらの施設で落とし物をしたときは、施設に問い合わせをすることになると思われます。
(3) インターネットで情報確認できます
また、今回の法改正で、警察署に届出された落とし物(交通機関や百貨店で保管しているものも含む)の内、1万円以上の現金や有価証券、1万円以上の価値がある物、免許証、健康保険証等身分関係の書類、預貯金通帳やクレジットカード、携帯電話については、形状、発見場所等の情報をインターネットで公開することになりました。
(4) 拾った人の権利について
保管期間が短縮されたことに対応して、落とし物をひろった人は落とし物を拾ってから3ヶ月経つと、その落とし物の所有権を取得することになりました。3ヶ月以内に持ち主が見つかった場合は、5~20%の範囲で報労金がもらえます(法28条)。
ただし、拾った人は(1)拾った後1週間以内に警察署に届出をする、(2)交通機関や百貨店等で拾ったときは24時間以内に当該機関に届出をする、という義務を果たさなければ、所有権を取得できないことはもちろん、落とし物の保管費用や報労金をもらうことすら出来ません。届出をしない場合は遺失物横領罪という犯罪になります。
少年法の「改正」
(1) 警察による「調査」を明文化
14歳未満の少年は刑法で罰せられないこととの関係で、これまで、14歳未満の少年に対しては警察の捜査権限規定がありませんでした。
しかし、2007年11月の「改正」で、14歳未満の少年の触法行為について警察に対して「調査」の権限が与えられました。これにより、警察は少年、保護者、参考人を呼び出し「質問」ができるようになり(但し強制は出来ない)、また、強制捜査権限として捜索、押収、検証、鑑定を行えるようになりました。
(2) 少年院収容年齢を引き下げ
また、少年院法も「改正」され、少年院に収容される少年の年齢が引き下げられました。従来、少年に対して保護処分が行われた場合、少年院に収容される場合があるのは14歳以上の少年に限られていました。それに満たない年齢の少年は家庭、児童自立支援施設等での保護が原則とされていたのです。しかし、今回の「改正」により、「特に必要と認める場合に限り」(少年法24条)との限定がついているものの、おおむね12歳以上の少年は少年院への収容が可能となりました。
DV防止法の改正
(1) 命令事項の増加
これまで、夫婦間の暴力に対処するためにDV防止法が作られ、裁判所に申立をすることで加害者に対して、被害者への接近禁止命令、住居からの退去を命令することが出来ました。
今回の改正で、さらに、上記命令を裁判所が出す際、又は事後的に(1)面会要求、(2)被害者の行動を監視していると思わせるような事項を告げ、またはその知り得る状況に置くこと、(3)著しく粗野または乱暴な言動をすること、(4)無言電話、緊急やむを得ない事情がないのに電話、FAX、電子メール等で連絡する、(5)緊急やむを得ない事情を除き午後十時から午前六時の間に電話、FAX、電子メール等をすること、(6)汚物、動物の死体その他著しく不快または嫌悪の念を催させるような物を送付し、又は被害者の知り得る状態に置くこと、(7)被害者の名誉を害する事項を告げ、又は被害者の知り得る状態に置くこと、(8)被害者の性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を交付し、又は被害者が知り得る状態に置くことを禁止する命令を出せることになりました(法10条2項)。
また、被害者のみならず、被害者の親族等社会生活において被害者と密接な関係を有する者へのつきまとい、はいかい等を禁止する命令も出せるようになりました(法10条4項)。
(2) 命令を出す要件の緩和
従来、DV防止法に基づく保護命令は、被害者が身体に対する暴力を受けており、配偶者からのさらなる暴力により、生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きい場合に限り出されていましたが、今回の法改正により、配偶者からの生命等に対する脅迫をうけ、今後、暴力により被害者の生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きい場合にも命令が出せることになり、発令要件が緩和されました(法10条1項)。