アスベスト被害の完全救済を目指して提訴
アスベスト被害の完全救済を目指して提訴
~あやまれ、つぐなえ、なくせアスベスト被害~
1.6月3日、京都地方裁判所へ提訴!
2011年6月3日、京都地方裁判所の前に約200人が集結し、のぼりや横断幕を掲げてデモ行進を行いました。そこには「国とアスベスト企業は被害の責任を認め償え-京都建設アスベスト訴訟原告団」の文字が。3月8日に結成された原告団と弁護団(詳しくは、 アスベスト京都訴訟の原告団・弁護団が結成されました をご覧下さい)が、国とアスベスト建材の製造企業44社を相手に、合計4億円余りの損害賠償を求めて訴訟を提起したのです。
2.国と企業の悪質性
アスベストに関して詳しくは アスベスト京都訴訟の原告団・弁護団が結成されました で説明をしていますが、日本では、アスベストの危険性が遅くとも1960年代までに明らかとなっていたにもかかわらずその後もアスベストが使用され続け、累計で1000万トンを超えるアスベストが輸入され、建材として使われてきたのです。
諸外国ではアスベストの規制が早くから行われていたのに、なぜ日本では使用され続けたのでしょうか。それは、危険性を認識していたにもかかわらず逆に安全性をアピールし、国と企業が一体となってアスベストの利用を推し進めたことが原因です。企業は、真に安全なアスベストの代替製品がすでに開発されていたにもかかわらず、アスベストが安価であったことから、より多くの利益を上げるべくアスベストの利用を拡大させ、その一方で国は長年にわたって規制を怠ってきたのです。
輸入アスベストの7割以上が建材として使われたことから、建設現場にはアスベスト建材が集中し、原告など非常に多くの建設労働者が長期間にわたって危険なアスベストに曝露し続けています。そうして多くの建設労働者が、現在アスベストによる健康被害に苦しんでおり、既に亡くなられた方も少なくありません。肺機能を侵すその病は、人間としての尊厳すら奪うものです。
日本における建設労働者は総計500万人とも言われており、何十年という潜伏期間を経て発症するアスベスト被害の特徴からすれば、今後も被害は広がり続けるでしょう。今後も止まらないであろう被害の深刻さからすれば、本訴訟の意義は極めて重大です。
3.全国規模での連帯を
この建設アスベスト訴訟、京都では提訴されたばかりですが、首都圏ではすでに東京と横浜で数百人規模の同種の裁判が提起されており、6月23日に提訴3周年を迎えます。今年の3月には北海道でも訴訟が提起され、7月には大阪で、夏から秋には九州でも提起されることになっています。
国と大企業が相手になりますので、全国規模で連帯し、世論を動かしていくことが必要になります。弁護団や原告団ではネットワークを作る方向で議論が行われていますが、支援の輪も全国的に広げていかなくてはなりません。
合い言葉は「あやまれ、つぐなえ、なくせアスベスト被害」です。アスベスト被害の完全救済を勝ち取るため、皆様方の大きなご支援を心よりお願い致します。
(京都第一法律事務所からの弁護団参加弁護士)
村山 晃、大河原 壽貴、秋山 健司、谷 文彰