アスベスト京都訴訟の原告団・弁護団が結成されました
アスベスト京都訴訟の原告団・弁護団が結成されました
2011年3月8日、京都弁護士会館で、アスベスト京都訴訟の原告団と弁護団の結団式が行われました。今年5月末の提訴を目指して、今、懸命に準備作業を進めています。提訴の意義や提訴にあたっての決意は、下記の声明をお読みください。
皆様方の大きなご支援を心よりお願いいたします。
(京都第一法律事務所からの弁護団参加弁護士)
村山 晃、大河原 壽貴、秋山 健司、谷 文彰
京都建設アスベスト訴訟原告団・弁護団結団式にあたっての声明
2011年3月8日
京都建設アスベスト訴訟原告団長 寺前 武夫
同弁護団長 村山 晃
1 アスベスト被害とは何か
アスベスト(石綿)とは、天然に産出される繊維状の鉱物であるが、耐熱性、断熱性、耐火性、防音性、耐摩擦性、絶縁性、耐腐食性等に優れており、安価であったことも相俟って、我が国では、1960~1990年代にかけて1000万トンを超えるアスベストが輸入され、3000種類もの製品に使用されてきた。
しかしアスベストを含む粉じんを吸引すると、肺ガン・中皮腫等の重い健康被害を引き起こす。そのことは、2005年のいわゆる「クボタショック」以降、広く知られるところとなった。クボタの旧神崎工場では、従業員や出入り業者が肺ガンや中皮腫を発病し78名が死亡していたことが公表され、これを発端にニチアス㈱の166名をはじめ、全国の石綿関連企業が自社従業員の多数の死者数を次々と公表し、すさまじい石綿被害の実態の一端が明らかにされた。
我が国では、中皮腫により現在毎年約1000人が死亡しており、今後10万人が死亡すると推定されている。アスベストによる肺ガン、石綿肺の死亡者を加えると、我が国だけで今後数十万人の被害者が出ると推定されており、まさに史上最大の産業被害と言われている。
2 なぜアスベスト被害が生じたか
このようなアスベストの危険性は戦前から知られており、その医学的知見は、石綿肺については1940年、肺がんについては1955年、中皮腫については1965年には確立していたと考えられている。ところが、我が国においては、2006年に全面使用禁止となるまで、大量のアスベスト製品、とりわけ建材が製造・流通・使用され続けてきた。
アスベスト被害は、アスベストの危険性を知りながら、利益を優先してアスベスト含有建材を製造・流通させ続けた建材メーカーと、規制を怠って被害発生を放置してきた国によって作り出されたものである。
3 裁判の目的は何か
この裁判は、第1に国と企業の責任を明らかにして謝罪させること、第2に国と企業の責任で被害者に対し十分な救済と補償をさせること、第3に被害者救済基金の設立、適切な労災認定、曝露防止対策の実施、治療体制の確立、アスベスト除去対策等の総合的なアスベスト対策を講じさせること、を目的としている。
4 現行制度の限界
アスベスト疾病の被害者は、現在でも労災保険や石綿救済法の認定を受ければ一定の補償を受けられるが、全ての被害者がその認定を受けているわけではない。また労災認定等を受けている方でも、十分な救済は受けていない。
5 なぜ建設アスベストなのか
アスベストによる被害者は、必ずしも建設業従事者に限られるものではない。しかし、我が国においてはアスベストの多くが建材に使用されていたことから、建設業従事者に被害者が集中している。また、アスベストは「静かな時限爆弾」と言われるように、長期の潜伏期間を経て発病するため、今後も被害が広がり続ける可能性が高く、500万人とも言われる建設業従事者は今も不安におののいている。その意味で、最もアスベスト被害が集中している建設分野での救済は喫緊の課題である。
6 最後に
建設業従事者の中でのアスベスト被害の拡大を受けて、すでに首都圏アスベスト訴訟など全国で損害賠償請求訴訟が取り組まれており、各地で同様の建設アスベスト訴訟の提訴が予定されている。私たちは、そうした全国の取り組みに連帯して、京都においても、国と建材メーカーを被告とする建設アスベスト訴訟を提起することを決意した。現在、大阪でも提訴の準備が進められており、今後、京都・大阪を軸に関西統一訴訟として発展させていく予定である。
多くのみなさんのご支援と御協力を心から訴えるものである。
以上
*2011年6月3日付/アスベスト被害の完全救済を目指して提訴~あやまれ、つぐなえ、なくせアスベスト被害~