弁護士コラム

菓子製造工場の悪臭騒音被害に賠償命令判決

菓子製造工場の悪臭騒音被害に賠償命令判決

菓子工場(石田老舗)の違法操業により周辺住民が臭気や騒音に3年3ヶ月間さらされ続けたことに関し、菓子工場と京都市に対して損害賠償を求めた事件で、9月15日、京都地方裁判所による判決が言い渡されました。本判決は、周辺住民の工場に対する損害賠償請求を一部認容(一人16万5000円、総額280万5000円)したものです。

~業者の悪質性と住民の苦痛を認定した判決~

判決は、住宅地で50㎡以上の工場は認めらない地域で、建築確認は「倉庫・事務所」で受け付けておきながら、意図的に工場へ転用した業者の悪質性を指摘しました。そして、法規制の定められていない菓子工場の「クッキーの焦げたような臭い」や、騒音規制値を上回らない騒音についても長期間さらされ続けることは相当な苦痛であることを認め、業者の悪質性に鑑みれば受忍限度を超えるとしたことは評価できます。

他方、使用制限命令を出すことを長期間怠り、制限命令の期間経過後も業者が移転を表明しているとして刑事告発に踏み切らなかった京都市の責任を否定したことは不当です。

住民が泣き寝入りせず、立ち上がることが何よりも重要だと言えます。

2010年9月