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アスベスト作業2ヶ月でも労災に~肺がんの原因はアスベストかもしれません~

1 アスベスト作業期間が2ヶ月で労災認定

 50年近く前にアスベスト作業に2ヶ月間だけ従事した方について、横須賀労働基準監督署が、アスベストが原因で亡くなったとして労災認定を行ったという記事に接しました。

 

2 アスベストの労災認定基準

 アスベストが原因で病気になられるなどした場合、労災として認められるためには、通常は1年以上(中皮腫の場合)もしくは10年以上(肺がんの場合)の期間、アスベスト作業に従事していたと認められなければなりません。記事の方は肺がんですから、10年以上ということになります。

 ただ、労災として認められるための要件は他にもあり、ときにはアスベスト作業が10年(もしくは中皮腫の場合1年)未満であっても認定されることがあるのです。

 

アスベストに関する労災認定基準は次のようになっています。

 【中皮腫の場合】

  ・ 石綿ばく露作業従事期間1年以上

  もしくは

  ・ 胸部エックス線写真で、第1型以上の石綿肺所見がある

 

 【肺がんの場合】

  ・ 胸膜プラーク所見がある+石綿ばく露作業従事期間10年以上

  もしくは

  ・ 石綿肺所見※がある

  もしくは

  ・ 広範囲の胸膜プラーク所見がある+石綿ばく露作業従事期間1年以上

※ 広範囲の胸膜プラークとは、胸部CT画像で、胸膜プラークの広がりが胸壁内側の1/4以上ある場合などを指します。

  もしくは

  ・ 石綿小体または石綿繊維の所見(本数などの要件あり)+石綿ばく露作業従事期間1年以上

  もしくは

  ・ びまん性胸膜肥厚に併発

  もしくは

  ・ 特定の3作業(石綿吹付作業など)に従事+石綿ばく露作業従事期間5年以上

 

3 作業内容などを考慮して認定されることも

 また、こうした要件をいずれも充たさない場合であっても、アスベスト作業の内容などを考慮して認定されることがあります。実際に、中皮腫でアスベスト作業期間が1年未満のケースで、「昭和40年代の造船所においては、船内に石綿含有の断熱材を取り付ける作業は、高濃度の石綿粉じん環境下での作業であり、高濃度の石綿ばく露を受けていたと認められる」として認定されたケースが公表されています。

 

4 たばこではなくアスベストが原因かもしれません

 肺がんはたばこが原因と考えてしまいがちですが、そうとは限りません。私たちが取り組んできた数多くのケースでも、たばこを吸っている方がとてもたくさんいらっしゃいましたが、だからといってアスベストが原因であるということが否定されたわけではありませんでした。従事してこられた作業の内容をきちんと分析すれば、肺がんの原因がたばこでないことは分かります。

 建設作業であればほぼどんな方でもアスベストを扱っていたというのが実際です。肺がんになられた方やそのご遺族の方、もしかすると原因はアスベストではないでしょうか。一度ご相談を頂ければと思います。