C型肝炎に関して、給付金の支給を受けるためには、まず、国を被告として、訴訟を提起することが必要になります。裁判手続の中で、①出産や手術での大量出血などの際に「特定フィブリノゲン製剤」や「特定血液凝固第Ⅸ因子製剤」といった製剤が投与された事実、②製剤投与と感染との因果関係、③C型肝炎の症状の3つについて判断がなされます。
今回解決に至った事案は、昭和62年頃、広島の国立呉病院(現在は「独立行政法人国立病院機構呉医療センター」という名前に変更)に入院して手術を受けた方が原告でした。令和4年頃、呉医療センターから原告宛に手紙が届き、その手紙には「昭和62年の手術の際に特定フィブリノゲン製剤の投与が為されたことが判明しました」旨の記載がありました。
他方で、原告は、直近の血液検査では、「現在、C型肝炎ウイルスに感染している可能性が低い」「陰性」と判定されていて特に症状はありませんでした。ただし、過去にC型肝炎ウイルスに感染していると指摘されたという記憶だけはありました。
そこで、昭和62年の特定フィブリノゲン製剤投与とC型肝炎ウイルスへの感染の因果関係、過去のC型肝炎の感染をどう立証するかが主な争点となりました。
過去に通院していた病院の全てのカルテ等を取り寄せてみたところ、段ボール2箱分の大量のカルテ等がありましたが、これを全て検討して過去のC型肝炎の感染を立証しました(肝炎の症状等があったことを詳細に指摘する等)。
そうしたところ、最終的に国は給付金の支給を認めて、合計1260万円(C型肝炎ウイルス感染に対する給付金1200万円+弁護士費用5%相当額60万円)を獲得することが出来ました。
今回解決に至った事案は、過去のC型肝炎の立証が困難な事案でしたが、粘り強く証拠を検討して提出し続けた結果、給付金を獲得することが出来ました。
今後もC型肝炎患者様の被害救済のため、困難な事案であっても全力を尽くしていく所存です。
本件と同様に病院からフィブリノゲン製剤投与を窺わせる手紙が届いた方がいらっしゃると思いますが、そのような方で現在や過去にC型肝炎に感染したことがある方はお早めにご相談下さい。
以上