1 建材メーカーをこれまでで最も厳しく断罪
2023年6月30日、関西建設アスベスト大阪二陣・三陣訴訟の判決が下され、原告勝訴の判決となりました。被害者73名中64名が勝訴、責任が認められた建材メーカーは12社と過去最多になります!
2 判決のポイント
責任は認められた建材メーカーは、エーアンドエーマテリアル、ニチアス、ノザワ、エム・エム・ケイ、日鉄ケミカル&マテリアル、太平洋セメント、大建工業、日東紡績、パナソニック、神島化学、日本インシュレーション、積水化学です。このうち日本インシュレーションとパナソニックは一連の建設アスベスト訴訟で初めて責任が認めらました。建材メーカーの責任を一社ずつ、一歩ずつひろげる闘いが実を結んでいます。
建材メーカーが責任を負うべき時期について、これまでで最も早い判断をしています(吹付作業者との関係で1971年4月1日、屋内作業者との関係で1974年1月1日)。
基準慰謝料額もこれまでで最も高い部類としました(亡くなられた方について2950万円、発病された方で原則2750万円)。このことについては法廷でも被害を丁寧に指摘しました。「身体的な苦痛は甚だ大きい」「精神的な無念さも計り知れない」「もがき苦しむといってもよい状態の者さえあった」「死に対する恐怖の末、生命を奪われるという最悪な結果を招来している」などとわざわざ読み上げたのです。被害者に寄り添い、建材メーカーを厳しく糾弾するためにほかなりません。
原告の方々は国が創設した救済制度によって給付金を受け取っていますが、そのことを理由に賠償額の減免を主張する建材メーカーに対し、「被告らが、自己の責任を果たしていないにもかかわらず…国が支払った慰謝料の額の限度で当然に消滅するというのは不合理であり、民法の定める不法行為法における公平の理念に反する」と述べています。この点でも建材メーカーに対する厳しい姿勢がよく表れています。
3 アスベストかな?と思われたらご相談を
3月に判決があった京都二陣訴訟も大阪高裁に係属しており、京都三陣訴訟も京都地裁で審理中です。私たちもさらにがんばりたいと思います。
当事務所ではアスベスト被害を長年取り扱っております。建設現場で働くなどして肺がん、中皮腫などになられた方やそのご遺族の方へのサポートも行っておりますので、ぜひご相談ください。