活動紹介

相続人のいない相続財産―特別縁故者に、不動産の分与が認められた事例

私は、これまで特別縁故者の財産分与事件は、複数件担当してきており、その成果は、事務所報において紹介しています。

これらに加えて、更に「特別縁故者に不動産の分与を認めさせることができた事例」を得たので、紹介させていただきます(但し、実際の事例に多少手を加えています)。

家庭裁判所が特別縁故者に不動産の分与を認めることは、まだまだ珍しいとされています。そのような中で、私は、これまでにも、不動産の分与を認めさせた経験もあります。但し、その事例は特別縁故者の方が、所有していた土地を敷地としていた建物の分与を受けた事例でした。

今回ご紹介する事例は、被相続人の名義の土地・建物を共に分与させたもので、更に画期的なものとなりました。

【事例】

Aさんは、一人っ子でしたが、Aさん両親はすでに他界し、法定相続人がおらず、Aさんは、遺言書も書いていませんでした。

Aさん死亡後、Aさんの相続財産に利害関係のある人が、相続財産管理人選任申立をして、相続財産管理人が選任されました。

この事例では、Bさんは、Aさんと遠縁にあたりますが、一時期、ご近所で生活をし、ご兄弟のように過ごしたこともあります。Aさんが年老いてからは、施設に定期的に訪問するなどの交流がありました。Aさんの死後は、Bさんが、墓を守り、弔っています。

Aさんの老後は、Aさんの財産管理は、Bさん以外の人が管理をしていましたが、対象となった不動産の事実上の管理は、Bさんがしていました。

このような事例で、弁護士としては、BさんがAさんの療養看護に努めたことを中心に日記や記録等をもとに立証して、特別縁故者と認定させました。不動産の取得については、当該不動産への管理への関与度、当該不動産取得への強い思い(買受意思)もあったことなども立証しました。その結果、当該不動産の分与も認められました。