1 10月、最高裁へ!
建築現場で大工や電工、左官などの建築職人として長年にわたって働き、その中で建材に含まれていたアスベストに曝露して重篤な病気にかかった方々やそのご遺族が、「あやまれ、つぐなえ、なくせアスベスト被害」「いのちあるうちの解決を」を合い言葉に国と建材メーカーを訴えている建設アスベスト訴訟。2008年の提訴から12年が経過し、多くの方が帰らぬ人となる中、闘いが続けられています。
その建設アスベスト訴訟で、最高裁で審理が行われることが決まりました。正に最終局面。当事務所も最後の一人が救済されるまで全力で頑張ります。
建築現場で働いていて肺がんや中皮腫などになられた方、この問題に10年以上取り組んでいる当事務所にご相談ください。
2 全国の力で国と建材メーカーを追い込む
建設アスベスト訴訟は全国各地で闘われており、原告数は1000名を大きく超えます。問うているのは、アスベストの危険性を知りながらそれを隠し、アスベスト建材という形で全国にばら撒いて大きな利益をあげてきた建材メーカーの責任と、同じく危険性を知りながら規制するどころか逆にアスベストの使用を促進してきた国の責任です。
東京・神奈川で2008年に提訴された後、京都・大阪・福岡・北海道で2011年に提訴され、これまでに国の責任は11回連続で認められており、もはや揺るぎありません。「一人親方」(労働者ではなく個人事業主として建築作業に携わった方)に対する国の責任も高等裁判所で3度認められ、建材メーカーの責任も2016年の京都地裁判決をスタートに高等裁判所でも3度認められています。一番最初の判決では国の責任も建材メーカーの責任も認められず、その後も建材メーカーの責任や一人親方に対する国の責任はなかなか認められませんでした。それでも諦めず少しずつ前進し、このように建設アスベスト被害について国と建材メーカーの責任を厳しく認める司法の流れは、この12年間で確固たるものになりました。原告の皆さんが正にいのちをかけて勝ち取ってきた成果です。
そしてついに、最高裁判所の判断が示されます。
3 最高裁での審理の見通し
今の時点で最高裁で審理が行われると確定しているのは、神奈川訴訟の上告審です。京都を含めて他の訴訟についてはまだですが、順次審理が行われると思います。当事者が極めて多数に及ぶことやコロナウイルス対策での三密回避のため、最高裁判所も一度に進めるということがしにくいのでしょう。
最高裁から届いた通知を見ると、大きくは以下の点について審理・判断がされるようです。あくまでも現時点での推測になりますので、そこはご留意ください。
【国の責任について】
① 規制権限不行使の違法性についての判断基準
② 国が責任を負う期間(責任の始期・終期)と違法事由
③ 一人親方に対する国の責任
【建材メーカーの責任について】
④ 責任を負うべき企業
4 闘いは続く
最高裁で審理が行われることになりましたが、判決ですべてが終わるわけではありません。残される課題もあるでしょうし、なにより基金制度の創設に向けた闘いが続くことになります。そして、被害者はまだ多くいらっしゃいます。
当事務所からは4名の弁護士が弁護団に加入し、奮闘しています。すべての被害者が救済されるまで闘い抜きますので、ご支援をよろしくお願いいたします。
また、建築現場で働いたことがあり、肺がんや中皮腫などになっておられる方やそのご遺族の方は、当事務所までご相談ください。