活動紹介

メガソーラー乱開発にストップを!

メガソーラー乱開発にストップを!

1 メガソーラーって?

みなさん、メガソーラーってご存じでしょうか。

メガソーラーとは、出力1メガワット以上の大規模な太陽光発電所のことを言います。少しイメージしにくいかもしれませんが、町中でも家やビルの屋上などでよく見かける標準的なソーラーパネルは、1枚当たり1.4㎡ほどの大きさのもので、発電量は200ワット程度です。1メガワット発電しようと思えば、パネルが5000枚ほど必要になり、施設として1ヘクタール(1万㎡)程度の土地が必要になってきます。

そして、現在、全国各地で大規模メガソーラー開発が行われ、環境破壊・水質汚染、土砂災害の危険などから住民の反対運動が起こり、大きな問題となっています。

諏訪市四賀ソーラー事業の計画予定地

2 問題はいまなお、拡大している

2012年、再生可能エネルギー(太陽光や風力など)で発電した電気をすべて電力会社が買い取る制度(固定価格買取制度)が法律で定められました。この制度は、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの普及拡大を目的に、投資家を呼び込んで市場を形成し、設備コストを下げるということを目的としていました。実際に、太陽光発電のコストは劇的に下がりました。平均的な1メガワットのメガソーラー整備には、2億5000万円程度の費用がかかり、他方で年間の売電収入は2000万円を超すと言われています。つまり、10年程度で投資費用が回収でき、以後の売電収入は実質利益になる仕組みになっています。そのため、固定価格買取制度がスタートして以来、全国で整備・開発が急激に進んでいるのです。

持続可能な社会の実現のためには、再生可能エネルギーの普及は不可欠です。ところが、理念なき投機的参入によって、本来制度が予定していた理念とは異なる方向に制度がゆがめられ、そのゆがみが現在、顕在化している状況といえます。

このような状況にもかかわらず、今、大規模な太陽光発電事業を直接規制する法律はありません。そのため、どこにでも、簡単に発電施設をつくれてしまうため、さながらタチの悪いガン細胞のように全国の森林が切り開かれています。

3 京都府におけるメガソーラー開発(南山城村の事例)

ここ京都においても、メガソーラー開発が進みつつあります。特に問題の大きい事例として、南山城村のケースをご紹介します。

京都府南山城村と三重県伊賀市の県境をまたいで、今、大規模メガソーラーが建設されようとしています。ここでは、米外資系企業「FS(ファーストソーラー)Project Japan6合同会社」が、2014年頃から事業計画を進めており、事業面積は約80ヘクタール(東京ドーム約17個分)、発電出力は37.5メガワットという大規模なものです。

南山城村計画予定地

(1)自然環境の破壊

計画予定地とその周辺は、複数の渓流が流れ、豊かな自然と希少な生物が多数生息する山間部です。予定地ないし周辺地域には、京都府レッドデータブックで準絶滅危惧種に指定され、かつ府の天然記念物にも登録されているハッチョウトンボの生息が確認され、また、絶滅寸前種に指定されているイシモチソウやコモウセンゴケの群落などもあります。この指摘に対して、事業者は、自主的なアセスメントによって調査等を行ったうえで、計画地外周部に森林を残置・造成するなどして周辺の動植物に配慮するとともに、開発の影響があると予測した種については、移植等の保全措置を講じるなどと簡単に説明しています。

しかし、事業者による自主的な調査自体、その正当性が強く疑われることはもとより、一度失われれば回復することが極めて困難な自然生態系の保全に十分な措置が講じられるとは到底思えません。

(2)土砂災害のおそれ

また、計画予定地周辺は、1953年(昭和28年)に、戦後府内最大の水害被害と言われる南山城水害の中心的な被災地域に該当します。当時、集中豪雨による被害者総数は約2万8000人にものぼり、建設予定地西側の地区では民家が流され、15人もの犠牲者が出ました。このような災害の歴史もあり、計画予定地周辺一帯は、「砂防指定地」に指定されています。「砂防指定地」は、土砂の流出による被害を防ぐため、一定の砂防設備や行為の制限・禁止の必要がある地域として、国が指定した地域です。

土木の専門家によれば、当該地域は、全体的に広い湿地帯になっており、計画地内の砂子田川という河川の接する地域は地下水位が高く、軟弱な地盤の地域であるといわれており、そのような地域での盛土工事は、条例によって禁止されています。他にも多数の技術的な問題から土砂災害のおそれが懸念され、この点についても住民は強く指摘し、説明を求めていますが、事業者や京都府は、明確な回答をしていません。

4 おわりに

南山城村でのメガソーラー開発は、本年1月末時点で、事業者からの申請に対して、府が許可をおろしたため、近く着工が予想されます。メガソーラーそのもののあり方を問う声を広げ、世論の高まりとともに反対運動を盛り上げて開発をSTOPさせなければなりません。

法律による規制がなく、事業者の負う義務や責任の内容がきわめて曖昧な状態のまま工事を進めることを許してはいけません。このニュースを見て、初めてこのような問題があることを知った方もおられるかもしれません。重大な環境破壊、人権侵害を伴う社会問題だということを知った上で、多くの人と共有していただくことが、問題を解決へと導く大きな力になります。ぜひ、ご協力をお願いします。