活動紹介

建設アスベスト訴訟、大阪地裁で勝訴判決 ~29日は京都地裁判決~

建設アスベスト訴訟、大阪地裁で勝訴判決 ~29日は京都地裁判決~

1 建設アスベスト被害で3たび国の責任を断罪

全国で闘われている建設アスベスト訴訟は、建設現場で働く中でアスベスト建材から発生したアスベスト粉じんにばく露し、石綿肺、肺がん、中皮腫などの深刻な病に罹患した建設作業従事者とその遺族が、危険性を知りながらアスベスト建材を製造・販売した建材企業と何の規制も行ってこなかった国を相手取って賠償を求める裁判です。このうち、関西建設アスベスト大阪訴訟(原告数33名被害者19名)において、大阪地方裁判所は、国の責任を認め、総額約1億円の支払いを命じる原告勝訴の判決を言い渡しました。

建設アスベスト被害についての国の責任を認めた判決は、東京地裁判決、福岡地裁判決に続き三度目です。泉南アスベスト被害については、2014年に出された最高裁判決で国の法的責任が確定していますが、建設アスベスト被害についても、国の責任を認める司法判断の流れは、もはやゆるぎないものとなりました。

しかも大阪地裁判決は、これまで認められてこなかったアスベストの製造禁止を平成7年で認めました。平成7年の時点で白石綿(クリソタイル)を含むすべてのアスベストが有害であること、その管理ができないことが明らかとなっていた以上、その時点ですべてのアスベストの製造等を禁止すべきであったと判断したのです。アスベストの危険性を放置し続けた国の責任を、これまで以上に厳しく認めたといえるでしょう。

建設アスベスト被害について国に法的責任があることは明確であり、国は直ちに謝罪と賠償を行い、被害救済のために真摯に取り組むべきです。

2 大阪地裁判決の不十分な点

もっとも本判決では、原告の主張がすべて認められたわけではありません。

いわゆる「一人親方」については、労働安全衛生法の保護対象に含まれないとして救済を拒否しました。「労働者」にあたるかどうかについては労働実態を個別に丁寧な検討をしているものの、「労働者」にあたらない原告については一切の国の責任を否定したのです。これは、労働者と同様に建設現場で働き、アスベスト被害を受けた一人親方の実態を無視するもので、不当です。

また、本判決は、建材メーカーの責任を全て否定しました。これは、利益追求のためアスベストの危険性を隠蔽して、石綿建材の製造・販売を継続した建材企業を免責するもので、極めて不当というほかありません。

3 29日の京都地裁判決でさらなる勝利と前進を!

本判決は、三度国の責任を認めたことに大きな意義がある一方、不十分な点もまだ残されました。次は、29日の京都地裁判決です。この判決は、「関西建設アスベスト訴訟」として京都・大阪で一致団結し、5年間にわたって取り組んできた闘いの集大成となります。大阪地裁判決で確認された国の責任をさらにゆるぎないものとし、「一人親方」に対する責任や企業の責任を認めさせることで更なる前進を勝ち取るために、弁護団としても全力を尽くします。

なお、関西建設アスベスト京都訴訟には、弁護団長として村山晃、対企業の責任者として谷が参加しているほか、大河原壽貴、秋山健司の4名が参加しています。