「憲法を活かす講演の集い」を開催しました
2012年10月19日、メイン講演者に朝日新聞の外国支局長等を長年務められた伊藤千尋さんをお迎えし、オープニングアクトにシンガーソングライターのケイ・シュガーさんをお招きして「憲法を活かす講演の集い」を開催しました。京都第一法律事務所では、2004年から事務所独自の憲法集会を開催しており、実に9年目を迎えました。
3・11の大震災・原発事故、オスプレイ配備、尖閣・竹島領土問題、消費税増税など大変な問題が渦巻く中での開催となりましたが、そのような大変な時期において、「憲法を活かす」という立場から考える集会となりました。
講演に文化的な彩り -ケイ・シュガーさんミニコンサート-
オープニングアクトのケイ・シュガーさんは、伊藤さんの講演に素晴らしい華を添えてくださいました。綺麗な歌声とピアノの旋律を響かせつつ、平和と自由の尊さ、それを希求した革命家小林多喜二へのレクイエムを歌い上げるケイ・シュガーさん。小林多喜二の理想と活動、それに対する言語を絶する拷問は、多くの人の心に深く刻み込まれました。現代の憲法の人権規定は、平和と自由と民主を求め、命を奪われた人々へのレクイエムでもあるのです。
「活かすことが大事」 -伊藤千尋さんの講演-
特に印象的だったのが、万事物事は、「活かすことが大事」というお話です。例えば、米軍基地の問題。富士山麓の御殿場市に広大な米軍基地がありますが、単に「米軍基地反対」を唱えるだけでなく、代わりに基地の跡地をどう「活かす」かという視点で考えることで基地反対運動の展望が見えてくるというお話。その中で、「天然の富士山をバックにした日本最大の温泉銭湯を作ろう」という提案を例として挙げられました。
伊藤さんが過去に訪れたアイスランドでは、自然エネルギーの一つである地熱による発電所を作ったところ、その副産物である温排水を利用して温泉ができ上がりました。今では陸上競技場並の広さをもつ世界最大の露天風呂となり、観光地として大いに賑わっているそうです。「戦闘」の基地から「銭湯」へ、という発想は胸踊るものです。そして、火山国日本も同様の地熱発電に適した地理的条件があり、発電所を作る先端技術も日本の企業が持っている…。地熱発電の導入で、原発から自然エネルギーへの転換も、基地反対運動も展開できるというお話に、客席の皆さんも興味深そうに聴き入っておられました。
地熱発電も日本国憲法も、日本にはよいものがありながら活用し切れていないという現実に、伊藤さんは「平和憲法も『守る』だけではなく、『活かす』という視点で考え活動することが大事」と力説されました。その提案に具体的でかつ明るい展望を感じとられたのでしょう、会場からは盛大な拍手が湧き起こりました。
今日を機に、また明日へ元気に踏みだそう!
原発依存勢力の跋扈、国民の権利を侵害する政治、領土をめぐる問題…。これらは、憲法が保障する人権や平和主義を活用することでこそ解決できるものです。今回の憲法集会では、その活動を進めるための大いなる元気を頂きました。
京都第一法律事務所が主催する憲法集会も来年で10周年を迎えます。その節目に向けて、この集会を機に所員一丸となり新たな気持ちで憲法を守り活かしていく活動に取り組んでいきます。