活動紹介

表現の自由を踏みにじる最高裁判決を許すな!~ビラ配布事件に有罪判決~

表現の自由を踏みにじる最高裁判決を許すな!
~ビラ配布事件に有罪判決~

東京都葛飾区のマンションで政党の議会報告ビラを配布したとして僧侶の荒川庸生さんが逮捕・起訴された事件で、2009年11月30日、最高裁判所は、住居侵入罪の成立を認める判決を下しました。憲法で保障された「表現の自由」をないがしろにする判決内容に対しては、各方面から批判の声が上がっています。

なぜ荒川さんは逮捕されたのか?

荒川さんが逮捕されたのは2004年12月23日です。その日、葛飾区内の7階建てのマンションにて「日本共産党葛飾区議団だより」など4種類のビラを荒川さんが各戸配布していたところ、マンションの住人から「これを配ってるのはお前か」と声をかけられました。荒川さんがビラ配布を止めてマンションを出ようとしたところ、先ほどの住人の通報で駆けつけた警察官によって住居侵入の現行犯で逮捕されました。

1審の東京地方裁判所は、「マンション内でのビラ配布が刑罰をもって臨むべき違法な行為であるという社会的な合意が確立しているとは言い難い」という常識に則って、荒川さんに無罪の判決を下しました。

しかし、2審の東京高等裁判所が逆転有罪の判決を下したことから、荒川さんが最高裁判所に上告していました。

最高裁は有罪判決を維持

注目された最高裁判所の判断は、荒川さんの行為が「マンションの管理組合の管理権を侵害するだけでなく、マンションの住人の私生活の平穏を侵害する」という極めて形式的な理由で、2審の有罪判決を維持するものでした。

上に書いたように、荒川さんが配布したビラは、政党の議会での活動内容や今後の活動方針を伝えるものです。犯罪行為を助長したり、風紀を乱すようなものではありません。判決文を読む限り、憲法で保障された「表現の自由」の重要性に対する慎重な配慮を最高裁が行った形跡はほとんど見当たりません。

不当判決に各方面から非難の声

判決後、荒川さんの弁護団は直ちに声明を発表し、「最高裁は憲法の番人としての職責を放棄した」と厳しく批判しました。

また、東京弁護士会も判決翌日に声明を発表し、「ビラの配布は市民が意見を表明する重要な手段の一つであり、それを警察、検察及び裁判所が過度に制約することは、民主主義の死命を制する重要な人権である表現の自由に対する重大な危機である」との懸念を表明しました。

民主主義の社会が成り立つためには、様々な意見が伝えられなければなりません。その中には自分の考え方とは違う意見もあるでしょう。しかし、自分とは違う意見も受け容れるのでなければ民主主義は成り立ちません。

今回、政治ビラの戸別配布が犯罪とされたのに対し、宅配ピザなどの商業チラシの配布が摘発された例は聞いたことがありません。政治ビラだけを狙い撃ちにする警察や裁判所の動きは、民主主義の観点からは極めて問題です。

今こそ表現の自由と民主主義を守るための声を上げましょう。